・初めてサイト制作を依頼する
・前に作ったサイトで成果が出なかった
・公開後に何をすればいいか分からない
「Webサイト制作 進め方」で検索すると、企画、設計、デザイン、実装、公開という工程表が並びます。ところが、その順番どおりに進めたはずのサイトで「作ったのに何も変わらない」は起きます。工程は消化されているのに、数字だけが動かないのです。
Webサイト制作の進め方とは、目的を決め、作り、公開し、直していくまでの段取りのことです。工程表の終点は公開日に置きません。本記事では、目的による進め方の分かれ方、制作前に読む既存データ、公開後半年の予定という順で解説します。
この記事を監修した人

マーケティングディレクター
玉城 彪眞タマキ ヒュウマ
この記事のゴール(読了目安 約10分)
自社サイトの目的から進め方を選び、制作前に見るデータと公開後半年の予定までを、1本の計画として組み立てられるようになる。
進め方は目的から決まる
作ること自体が目的になる
「サイトを作る」が社内のタスクになると、判断の基準が「工程が進んだか」に置き換わります。公開日がゴールとして扱われ、そこで予算も体制も終わります。公開日は工程の区切りであって、成果が出る日ではありません。良いサイトの条件そのものは別記事で解説しています。
目的で工程も費用も変わる
会社の存在を示すサイトと、問い合わせを取りにいくサイトでは、かけるべき工程が同じではありません。全部に同じ手順を当てはめると、要らない工程にも費用がかかります。事業の目標から逆算した目的の決め方は別記事で解説しています。

サイトの目的を4つに分ける
目的は6つにも10にも分けられますが、進め方が変わる単位でまとめると4つです。自社がどれに当たるかで、費用も依頼先も公開後の関わり方も変わります。
2つにまたがる場合は、公開後に時間を使うほうを選びます。会社紹介と採用を1本で担うなら「会社を示す」、そこから問い合わせを取るなら「獲得を伸ばす」です。迷ったまま両方の進め方を混ぜると、費用だけが両方ぶんかかります。
名刺代わりなら早く出す
見通しが立つ前に作り込まない
新規事業のように、事業の形がこれから変わる段階で大きく作り込むと、変更のたびに費用が増えます。まだ決まっていないことを、サイトの中で先に決めようとしないほうが安く済みます。
自社の制作の進め方も、AIで早く形にするもの、ディレクターが調整するもの、専門のデザイナーが一から起こすものの3通りです。目的によって必要な手のかけ方が違うからです。名刺代わりのサイトに、獲得を狙うサイトと同じ作り方を当てる必要はありません。
段階を分けて発注する
最初は必要な範囲だけ作り、事業が動いてから広げます。会社概要と問い合わせ先だけで公開し、サービスの詳細は反応を見てから足す、という分け方です。制作会社との相性も、小さく一度組んだほうが分かります。返信の速さ、言ったことが伝わるか、想定と違ったときの直し方は、資料では分かりません。早く安く作ることは、手抜きではなく目的に合った選択です。
獲得が目的なら投資を計算
1件あたりの獲得コストで見る
獲得が目的なら、判断の軸は制作費の安さではありません。問い合わせや商談を1件得るのにいくらかかるか、つまりCPAの考え方から、サイトにかけてよい額を決めます。広告や展示会で1件を取るのにかけている額と並べると、上限の見当がつきます。制作費は支出ではなく、1件あたりいくらで回収するかの投資です。
同じ予算でも、マーケティングを理解している担当者が提案に関わるかどうかで結果は変わります。何を作るかの前に、どの課題を解くかを決められる人がいるかを見ます。
予算が足りないときの順番
全ページを均等に作らないことです。先に配分するのは、獲得につながる導線と最初に見える画面です。残りのページは公開後に足せます。
作り直す前に今の数字を読む
最初に見る4つの数字
既存サイトがあるなら、作り替える前に読むのは今の数字です。数字を集めるのではなく、次に決めることから逆算して4つに絞ります。
- 流入元: 検索、広告、紹介のどこから来ているか
- 入口ページ: どのページが最初に見られているか
- 離脱: どこで読むのをやめているか
- 問い合わせの経路: 成果に至った人がたどった順路
分析の手順とツールの使い方は別記事で解説しています。
入口と離脱を突き合わせる
よく見られているのに離脱が多いページは、作り替えの候補ではなく「情報が足りていない」候補です。ページを消す判断こそ、印象ではなく数字で決めます。
課題の仮説を1枚にまとめる
分析結果をそのまま制作会社へ渡さないことです。何が起きていて、どう変えたいかを1枚にまとめて渡します。書くのは、いちばん見られている入口、そこで起きている取りこぼし、次に増やしたい問い合わせの種類の3点で足ります。この1枚の精度が、返ってくる提案の質を決めます。
提案が数字から始まるか見る
最初の打ち合わせで分かる
デザインの好みやページ数から話が始まるか、今の数字の話から始まるか。既存データの分析から入ってくれるかを、選定の軸にします。会社の規模や実績より、この1点のほうが結果に直結します。「アクセスの権限をもらえますか」「今いちばん取りこぼしている導線はどこだと思いますか」と聞いてみると、どちらの型かは早い段階で分かります。
見積もりは前提ごと比べる
金額だけを並べても比べられません。前提を揃えてから見ます。
- ページ数と原稿: 誰が文章と写真を用意するか
- 修正の回数: どの工程で何回まで直せるか
- 公開後の対応: 公開後の修正が含まれるか、別契約か
依頼したあとの伝え方は別記事で解説しています。
要件は更新する人と決める
毎月さわる画面から決める
デザインと掲載内容だけ決めて、運用する側の画面を後回しにしないことです。実際に毎月更新する人が、要件を決める場に入ります。作る側に自然な管理画面が、更新する人にも使いやすいとは限りません。お知らせを1本出す、写真を1枚差し替える、料金の表を直す。この3つが誰の作業になるかを、要件を決める段階で書き出しておきます。
通知と記録は分けて持つ
問い合わせをメール通知だけに頼ると、届かなかったときに気づけません。通知は届けるための仕組みで、記録として当てにするものではありません。後から一覧で確認できる形も用意します。
公開前に測れる形にする
分析できる単位でURLを決める
公開後にどの単位で数字を比べたいかを先に決め、URLの構造に反映します。公開してから分けようとすると、比較できる期間がそこで途切れます。
制作を進めていたサイトで、公開後にカテゴリー単位で数字を比べられるよう、URLにカテゴリー名を含める構造にしてから公開すると決めたことがあります。
有効な問い合わせを数える
送信の件数と、商談になる問い合わせは別物です。営業メールや誤送信も同じフォームから届きます。何を1件と数えるかを、公開前に決めておきます。たとえば「返信して会話が続いたもの」を1件と決めれば、前後の比較も、かけた費用の割り算も、同じ物差しで続けられます。
公開後半年を計画に入れる
なぜ半年を目安にするのか
半年という区切りは、統計から出した期間ではなく、waltsuが推奨している目安です。公開してしばらくは、発注した側も自社サイトをよく見ます。営業が客先で開き、採用の面接で話題に出て、社内からも指摘が上がります。見る人が多い時期ほど、改善点は見つかりやすくなります。その関心が続くうちに、分析と修正までつなげます。半年で成果が出ると約束できる期間ではなく、直す機会が集まりやすい期間だと考えてください。
半年分の費用を先に見込む
制作費だけで予算を組むと、公開後に直す原資が残りません。見積もりを取る段階で、公開後半年の修正と分析を計画に入れます。後から追加予算を通すより、最初から含めるほうが社内でも通しやすくなります。
最初の1か月で確かめること
壊れと取りこぼしを潰す
最初の2週間で見るのは、成果ではなく不具合です。
- 表示: スマートフォンでの崩れ、画像の抜け
- フォーム: 送信できるか、通知と記録が両方残るか
- 計測: すべてのページで数字が取れているか
ここで計測が止まっていると、以降の半年分の数字が丸ごと取れません。
同じ条件で前後を比べる
リニューアルなら、同じ指標・同じ長さの期間で公開前後を並べます。比較の条件を変えると、良くなったのか悪くなったのかが判定できません。リニューアル特有の注意点は別記事で解説しています。
3か月と半年で決めること
公開後の半年を4つに区切ると、見るものと決めることは次のように変わります。
直す場所を1つに絞る
同時に複数を変えると、何が結果につながったのか分からなくなります。1回に1つだけ変えて、次の計測まで待ちます。
続けるものと止めるもの
半年の区切りで、成果につながらなかった仮説は捨てます。次の半年の予定に残すのは、続けると決めたものだけです。更新の担当と頻度も、実態に合わせて決め直します。月1回と決めたのに半年で2回しか更新できていないなら、担当を変えるか、頻度のほうを現実に合わせるかです。

【プロの視点】終点をどこに置くか
「進め方」を解説する記事は、どれも企画から公開までを工程表にして並べます。工程表そのものは正しく、順番も大きくは変わりません。問題は、終点が公開日に置かれていることです。
本記事の執筆にあたり、「Webサイト制作 進め方」で上位に出る記事を読み比べました。工程の数は5つから8つまで幅がありましたが、どれも公開が最後の工程で、その先は「運用が大切」という一節で締められていました。いつ、何を見て、何を直すのかという時間軸は、そこにありません。
終点を「公開後半年の最後の改善」へ動かすと、同じ予算でも配分が変わります。公開日までに使い切る前提がなくなり、直すための原資が残ります。体制も同様です。公開したら解散する体制から、半年は同じ人が見る体制になります。誰が数字を見て、誰が直すのかを、契約の段階で決めることになるからです。
見るべきは、工程が何ステップあるかではなく、その工程表がどこで終わっているかです。公開で終わる見積もりと、半年後まで含む見積もりは、金額が同じでも別のものを買っています。
明日やる最初の一歩は、見積もりを取る前に、公開日ではなく半年後の振り返り日をカレンダーに入れることです。日付が入ると、そこまでの予算と担当を決めざるを得なくなります。

【waltsu視点】関心が続くうちに直す
公開した直後は、社内の誰もが自社サイトを見るものです。役員も営業も「この説明は分かりにくい」「この写真は古い」と言い出します。普段はサイトの話をしない人まで意見を持つ、めったにない時期です。
waltsuの考えでは、この関心は、時間がたつと薄れます。半年という区切りは、サイトの都合ではなく、社内の関心が続いているうちに改善を回し切るための期限です。関心が薄れてからでは、直す提案そのものが議題に上がらなくなります。
だから見るのは、公開時にどこまで作り込んだかではありません。関心が高い時期に、直して測ってまた直すを何回できたかです。薄れてからの1回より、続いているうちの5回のほうが、自社のサイトについて分かることは多くなります。増やすべきなのは公開時の完成度ではなく、公開後に試せた回数です。
waltsuでは、定額の更新契約による基本的な修正対応と、マーケティング面の支援を組み合わせ、公開後半年を一緒に見る形で支援できます。どこまでがどちらに当たるかは案件ごとに決めるため、契約の前に範囲を確認してください。
明日やる最初の一歩は、公開日を決めるときに、1か月後・3か月後・半年後の確認日を先に押さえることです。関心が残っているうちに、直す機会を3回確保しておきます。

よくある質問
制作から公開まで何か月かかる?
規模と社内の確認体制しだいです。原稿と写真がそろい、決裁者が決まっていれば短くなり、素材待ちが続くと延びます。期間の目安は別記事で解説しています。
発注前に社内で何を決めますか?
目的、決裁者、更新を担当する人、公開後に見る数字の4つです。デザインの好みは後で構いません。決裁者が複数いると、修正のたびに方針が揺れます。
既存サイトのデータは何を見る?
流入元、入口ページ、離脱、問い合わせの経路の4つです。数字を集める前に「次に何を決めたいか」を先に置くと、見る範囲が絞れます。
公開後の半年で何をしますか?
最初の2週間で表示・フォーム・計測の不具合を直し、1か月で公開前後を同じ条件で比べます。3か月までに直す場所を1つ選び、半年で続けるものと止めるものを決める、という流れです。
更新の契約は結ぶべきですか?
公開後に直す予定があるなら、直せる状態を先に確保しておくほうが結果的に安く済みます。何が含まれ、何が別の費用になるかを契約前に確認してください。
この記事の要点
・進め方は目的で分かれる。名刺代わりなら早く安く出すのも正しい選択
・成果を求めるなら、デザインより先に既存データを読んで課題の仮説を作る
・公開前に測れる形にする。URLと、何を1件と数えるかを先に決める
・工程表の終点を公開日に置かない。公開後半年を計画と予算に入れる
まとめ
Webサイト制作の進め方は、目的で分かれます。会社を示す、審査に備える、事業を立ち上げる、獲得を伸ばす。名刺代わりや立ち上げ期のサイトなら、早く安く出すことも正しい選択です。すべてのサイトに大きな投資が要るわけではありません。
獲得を目的にするなら、デザインを考える前に既存データを読みます。流入元、入口、離脱、問い合わせの経路を見て課題の仮説を1枚にまとめ、それを持って制作会社と話す、という順番です。あわせて公開前に、URLの単位と、何を1件と数えるかを決めておきます。
そして工程表の終点を、公開日から半年後へ動かします。公開後の半年は、社内の関心が残っていて改善点が見つかりやすい期間です。作る前の目的の整理から、公開後半年の分析と改善まで、通しで見る相手を探す場面が出てきたら、waltsuがご支援します。
