・Next.jsで作るサイトにCMSを組み込みたい
・Payload CMSが無料なのか、どこで動かすのかを知りたい
・Figmaの買収後も使い続けてよいか判断したい
ヘッドレスCMSを調べていると、開発者の間でよく名前が挙がるのがPayload CMSです。Next.jsの中に入れて使う珍しい作りで、2025年にはFigmaの傘下に入りました。
Payload CMSとは、設定をコードで書くと、管理画面やAPI、データベースの仕組みがまとめて用意されるオープンソースのCMSです。最初に押さえたいのは、Payloadは「サイトと同じアプリの中で動くCMS」だという点です。本記事では、Next.jsとの関係、機能、データベース、始め方、料金、日本語対応、買収後の動きを、2026年10月時点の公式情報で整理します。
この記事のゴール(読了目安 約8分)
Payload CMSの仕組みと費用の考え方を説明でき、自社の案件で候補に残すかを判断できるようになる。
Payload CMSとは
コードで設定を書くCMS
Payloadは、TypeScriptで書く設定ファイルから、管理画面、データベースの構造、REST・GraphQLのAPI、ログイン、権限をまとめて生成します。管理画面の操作で入力欄を足す方式と違い、入力欄の定義をコードとして持つのが特徴です。ライセンスはMITで、誰でも無料で使えます。ほかのヘッドレスCMSとの比較は、別記事で解説しています。
2026年10月時点の状況
安定版の最新は9月23日公開の3.90.2で、次の4.0は試験版の段階です。GitHubのスターは約4.5万あります。2025年6月にFigmaの傘下に入り、オープンソースのまま開発が続いています。
Next.jsとの関係
2024年11月の3.0から、PayloadはNext.jsのアプリのフォルダに直接入る形になりました。新しく作るときは専用の作成コマンドを使い、すでにあるNext.jsのアプリにも後から加えられます。
その結果、管理画面とAPIと公開するサイトが、1つのアプリとして動きます。サイト側はLocal APIという仕組みで、HTTPを通さずにサーバーの中から直接データを読めます。別のサーバーにあるCMSへ取りに行く構成と比べて、通信が1段少ない作りです。
一方で、対応するNext.jsの版は範囲で決まっており、公式は「15系・16系のすべての版が使えるわけではない」と明記しています。Next.jsを上げるときは、Payloadの対応範囲も確かめます。4.0に向けては、Next.js以外の枠組みへの対応も準備中です。
主な機能
CMSとして使う機能は、設定に書くだけで動きます。代表的なものは次のとおりです。
- 管理画面: 設定から自動で作られ、30以上の言語の訳がある
- 3つのAPI: REST、GraphQL、サーバー内で呼ぶLocal API
- 権限: 文書・項目・操作の単位で、誰が何をできるかを決める
- フック: 保存や削除の前後に、自社の処理を差し込む
- 版と下書き: 変更の履歴と差分を残し、下書きと公開を分ける
- ライブプレビュー: 入力しながら、公開側の見た目を確かめる
ほかに、中身を複数の言語で持つローカライズや、フォーム作成・SEOなどの公式プラグインもあります。

使えるデータベース
Payloadは、データベースとのつなぎ役を差し替えて使います。公式に対応しているのは次の3つです。
公式のひな形には、VercelとNeonで動かすものと、CloudflareのD1とR2で動かすものがあります。表の形が固まっているならPostgres、形が動くならMongoDBが出発点です。
始めるまでの流れ
試すだけなら、手元のパソコンで次の順に進めます。
- アプリを用意する: 作成コマンドで新規に作るか、既存のNext.jsに加える
- データベースを選ぶ: 3つのうち1つを選び、接続先を設定する
- 設定を書く: 記事や商品など、扱うデータの入力欄を定義する
- 管理画面を開く: 開発用に起動し、最初の利用者を作る
設定を書き換えると、管理画面の入力欄とAPIが同時に変わります。入力欄の変更も、コードの変更として残るので、Gitなどで管理すれば、誰がいつ何を足したかを後から追えます。

料金と動かす場所
Payload本体は無料です。法人向けには、専任のサポートやホスティング、シングルサインオン、見た目を見ながら編集する機能を付けた契約がありますが、料金は公開されておらず、個別の相談になります。
公式のクラウドは、Figmaへの参加以降、新しいプロジェクトの受け付けを止めたままです。既存の利用者はそのまま動いていますが、いずれ移行が要ると案内されています。
動かす場所は、Next.jsが動くサーバーならどこでも構いません。ただし本番では、データベース、画像などのファイル置き場、メール送信、配信網を別に用意します。費用はこの4つと、版を上げる手間で決まります。
管理画面の日本語
管理画面は、標準では英語だけが入っています。日本語の訳は公式の翻訳パッケージに含まれていて、設定で日本語を読み込めば、ボタンやメニューが日本語になります。
どの言語で表示するかは、ブラウザの言語から自動で決まり、読み込んでいない言語のときは英語に戻ります。記事の中身を日本語と英語で持ち分ける機能は、画面の言語とは別の設定です。
WordPressと比べる
日本の企業サイトで多いWordPressと比べると、作り方の前提が違います。
WordPressは、開発者がいなくても画面から機能を足せます。Payloadは、機能を足すたびに開発者の手が入る代わりに、全部がコードとして管理できるCMSです。WordPressの保守で気をつけることは、別記事で解説しています。

Figma買収と4.0の動き
2025年6月17日、FigmaとPayloadは、PayloadのチームがFigmaに加わったと同時に発表しました。両社の発表に金額の記載はありません。Figmaは2025年度の年次報告書で、Payloadを買収し、専用の基盤とともに自社の製品へ組み込んでいると記しています。
その後も更新は続いています。2025年12月には、ReactとNext.jsの重大な脆弱性について、Payloadの利用者にも影響しうると告知しました。2026年9月18日の3.90.0では複数の脆弱性を直し、移行の手順を伴う変更も入りました。
2026年6月には4.0の予告が出ました。管理画面の作り直し、階層構造、AIとつなぐ仕組み、Next.js以外の枠組みへの対応が柱です。

【プロの視点】権限はコードの呼び出しで見る
CMSの権限は、管理画面のロール設定で確かめられがちです。編集者は記事だけ、管理者はすべて、という表を作り、画面で試して終わりにします。
Payloadでは、それだけでは足りません。3.xのLocal APIは、既定で権限の確認を飛ばして動きます。設定の名前はoverrideAccessで、サーバーの中から呼ぶ処理は、画面の権限に関係なく全データを読み書きできます。
さらに4.0では、この既定値が逆になります。書き換えなくてもコンパイルは通り、動きだけが変わると移行ガイドに書かれています。画面の権限表が同じでも、版を上げると中身の扱いが変わるわけです。
明日やる最初の一歩は、Local APIを呼んでいる箇所を洗い出し、利用者の代わりに動く呼び出しに、権限を確かめる指定があるかを1つずつ見ることです。
【waltsu視点】つなぐデータの数で選ぶ
社内では、10〜20ページほどの中規模サイトを約1か月半、データベースとの連携やSEOの設計まで含む大規模サイトを約3か月の目安にしています。納品はWordPressにして、お客さまのサーバーで公開する流れが基本です。
この目安から見えるのは、工期を延ばすのはページ数より、つなぐデータの数だということです。会員、商品、社内の台帳のようにつなぐ先が増えるほど、Payloadの「データもAPIも同じコードで持つ」作りが役に立ちます。ページを並べるだけのサイトなら、更新担当が画面で直せるWordPressのほうが早く回ります。
Payloadを選ぶ場合も、最初の版でつなぐデータは1つに絞ります。公開してから1つずつ足すほうが、1回の公開で確かめることが小さくなり、直して出し直す回数を重ねられます。
明日やる最初の一歩は、作りたいサイトでつなぐデータを書き出し、最初の版に入れるものを1つだけ選ぶことです。
よくある質問
Payload CMSは無料で使える?
使えます。本体はMITライセンスで、自社で動かす限り無料です。サーバーやデータベースの費用は別にかかります。
Next.jsがないと使えない?
3.xはNext.jsのアプリの中で動く作りで、Next.jsが前提です。4.0ではほかの枠組みへの対応が準備されています。
管理画面を日本語にできる?
できます。公式の翻訳パッケージに日本語の訳があり、設定で読み込むと表示が日本語になります。
公式のクラウドは使える?
2026年10月時点では、新しいプロジェクトの受け付けを止めています。自社でサーバーを用意する前提で考えます。
Figmaの買収で何が変わった?
オープンソースのまま開発が続き、自社で動かす使い方も変わっていません。変わったのは公式クラウドの新規受け付けが止まった点です。
この記事のポイント
・Payload CMSは、コードで書いた設定から管理画面とAPIを作るオープンソースのCMS
・3.0からNext.jsのアプリの中で動き、サイトと同じアプリとして公開する
・本体は無料だが、公式クラウドは新規受け付けを止めており自社運用が前提
・Local APIの権限の既定値は4.0で変わるため、呼び出し側を確かめる
まとめ
Payload CMSは、設定をコードで書くとNext.jsのアプリの中に管理画面とAPIができるCMSです。本体はMITライセンスで無料、データベースは3種類から選べ、管理画面は設定で日本語にできます。
一方で、公式クラウドは新規の受け付けを止めており、版の更新や権限の扱いは開発者が持ち続けます。強みが出るのは、つなぐデータが多い案件で、最初の版を小さく出すときです。CMSの選定や、データ連携を含むサイトの作り方に迷う場面が出てきたら、waltsuが設計から公開後の運用までご支援します。
