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WordPressとEmDashはどちらがおすすめ?運用する人で決める選び方と移行の4つの落とし穴

左右に並んだ2つのWebサイトの画面の間で、道が二手に分かれ、分岐点に「運用する人」を表す机と椅子のアイコンが置かれたアイキャッチ
マワルくん マワルくん
こんな人におすすめ
・WordPressのサイトを運用していて、EmDashに乗り換えるべきか迷っている
・移行すると検索順位が落ちるのではないかと不安がある
・移行するなら、何が移って何が移らないかを先に知りたい

2026年4月にCloudflareがEmDashを公開し、9月には安定版の1.0が出ました。「WordPressの精神的な後継」と聞いて、自社サイトも乗り換えるべきかと考えた方は多いはずです。

EmDashはプラグインを隔離して動かす新しいCMS、WordPressは20年以上使われてきたCMSです。決め手はCMSの機能ではなく、公開後にサイトを触る人の開発リテラシーです。本記事では、結論と費用・スキルの比較、移行の価値と4つの落とし穴を整理します。

この記事のゴール(読了目安 約8分)

どちらを選ぶかを「運用する人」の軸で決められ、移行するなら4つの落とし穴を順に確認できるようになる。

どちらがおすすめかの結論

開発に慣れた人が運用するならEmDash

EmDashの表示部分(テーマ)は、Webサイトを作る枠組みAstroで作ります。公式の手引きも開発者向けで、動かす場所はNode.jsのサーバーかCloudflare Workersです。記事の追加や修正は管理画面でできますが、デザインの変更・機能の追加・不具合の調査は、コードを読める人の仕事です。その人がいるならEmDashは候補になります。

そうでなければWordPress

管理画面だけで日々の運用が完結し、レンタルサーバーに簡単に入れられ、テーマも日本語の情報も豊富です。弱点のプラグインの脆弱性は、入れる前の選び方と入れた後の更新で抑えられます。コードを触る人が決まっていないなら、WordPressのほうが安全です。

左の「公開後にサイトを触る人」から右へ道が二手に分かれ、上の道はコードを書く人がいる場合でEmDash、下の道は管理画面だけで運用する場合でWordPressにつながる分岐図

前提を1文ずつ押さえる

費用とスキルで比べる

本体はどちらも無料です。差が出るのは、動かす場所の費用と、触る人のスキルです(2026年10月時点)。

項目 WordPress EmDash
デザインの変更 テーマの設定か制作会社 Astroのコードを書く
機能の追加 プラグインを入れる EmDash向けの部品を探すか作る
動かす場所 PHPが動くレンタルサーバー Cloudflare WorkersかNode.jsのサーバー
場所の費用 サーバー代 無料枠あり。隔離を使うなら月5ドルから
日本語の情報 多い 解説や事例はまだ少ない

見落としやすいのは人件費です。EmDashの「安さ」は、コードを書ける人が社内にいる前提で、外注するなら制作会社の単価が費用になります。

移行する価値があるとき

Googleはサイト移転の案内で、移転中は検索での掲載順位が一時的に変動することがあり、これは通常のことで時間とともに安定すると説明しています。手順を守っても一時的な下落は起こりうると見込んだうえで判断します。

  • 価値がある: プラグイン起因のセキュリティ問題が深刻で、更新と選び直しでは抑えきれない。プラグインへの依存が少ない。コードを触れる人がいる
  • 急がなくてよい: 会員・予約・ネット販売をプラグインに頼っている。コードを触れる人がいない。今のサイトが成果を出している

深刻さの見方は別記事で解説しています。

落とし穴1:SEOの設定が移らない

記事ごとのタイトルタグと説明文は、WordPress本体ではなくSEOプラグインが保存しています。EmDashの手順書とExporterの説明文がSEOの項目として挙げるのは、Yoast SEOとRank Mathの2つだけです(2026年10月時点)。その値も専用の欄ではなく通常の項目に入り、テンプレート側で表示する作りが要ります。

AIOSEOは手順書に名前がありません。4系は記事ごとの値を独自のテーブル aioseo_posts に持ち、書き出しファイルに入る記事の付加情報とは別の場所です。3系以前は記事の付加情報 _aioseop_title と _aioseop_description に保存していました。自動で移ると考えず、スラッグで突き合わせる対応表を自分で作るのが確実です。

落とし穴2:URLを1つも変えない

WordPressの公式文書は、パーマリンクを「永続的で変更すべきでないURL」と説明しています。変わりやすいのは次の3点です。

  • 記事のURLの規則: 日付入りか、カテゴリー入りか、スラッグだけか
  • カテゴリーとタグのURL: WordPressは既定でカテゴリー用・タグ用の固定の語をURLに含み、外せません
  • 末尾のスラッシュ: 有無が変わると別のURLとして扱われます

変えざるを得ないURLには301リダイレクトを置きます。Googleは、301などの永続的なリダイレクトでPageRankの損失は生じないとし、リダイレクトは1年以上を目安にできるだけ長く残すよう求めています。

落とし穴3:移らないものを洗い出す

「使っているのはAIOSEOだけ」と思っていても、プラグイン一覧に出ない機能があります。手順書も着手前に、プラグインが持つ項目まで記録するよう求めています。

  • テーマに同梱された機能: 問い合わせフォーム、ショートコード、独自の投稿タイプ。テーマは移らないので一緒に消えます
  • テーマに書かれたPHPのコード: 表示の調整や自動処理。移行後は動きません
  • ページビルダーのページ: Elementorは配置と装飾を記事の付加情報 _elementor_data にJSONで保存し、文字は移っても見た目は再現されません

手順書は、ショートコードやページビルダーの部分を移行後に目で確かめるよう指示しています。プラグイン一覧ではなく、ページを1枚ずつ開いて何で作られているかを確かめるのが棚卸しです。

落とし穴4:移行前後の差分を取る

移行前に記録し、移行後に同じ項目を取り直して差分を見ます。

項目 移行前に記録 移行後に確かめる
URL一覧 全URLとステータスコード すべて200か301で返るか
タイトルタグ・説明文 ページごとの値 文字列が一致するか
正規URL ページごとの指定 自分自身を指しているか
インデックス状況 Search Consoleの登録済み数 減っていないか
検索流入と順位 主な検索語の表示回数と順位 数週間の推移を見る
問い合わせの入口 問い合わせ直前に見られたページ ページと導線が残っているか

Search Consoleのインデックス登録レポートは書き出せるので、記録に向いています。手順書も、新サイトが安定するまで旧サイトとバックアップを残すよう求めています。戻せる状態を保ったまま差分を見るのが移行の型です。

EmDashへの移行で確認する4つの落とし穴(SEOの設定・URL・移らないもの・移行前後の差分)を、横帯4本のチェックリストにまとめた図

【プロの視点】機能表より、触る人を見る

CMSの比較記事は、速さ・安全性・AI対応を並べた表で優劣を決めがちです。ただ、見るべきは機能の表ではなく、公開後にサイトを触るのが誰で、その人は何ができるかです。WordPressは管理画面を超えた部分を制作会社に頼めますが、EmDashはコードを読み書きする人が必ず要ります。

AIを使ったサイト制作では、ディレクターとシステム担当だけで納品まで進める体制を取っています。それでも、WordPressへのつなぎ込みとメールフォームの設定はエンジニアの担当のままです。AIで作業が速くなっても、CMSにつなぐ工程は専門の人の手に残り、EmDashではその工程が増えます。

明日やる最初の一歩は、先月サイトに手を入れた人と作業内容を書き出すことです。全部が管理画面の中で済んでいたなら、CMSを変える理由はまだありません。

左に薄く描いたCMSの機能比較表、右に濃く描いた「公開後にサイトへ手を入れる作業」のリストを並べ、見るべきは右側だと示した左右比較の図

【waltsu視点】移行前に入口を記録する

移行の相談で最初に確かめるのは、CMSの機能ではなく、「どこから人が来て、どこから問い合わせが出ているか」の記録があるかです。

あるサイトの移行では、公開後にひとつの商材カテゴリの問い合わせが減りました。新しいサイトでは、その商材が別のカテゴリと一緒に並び、見つけにくくなっていたのが原因です。営業部門の要望を受け、専用ページを急いで作ることになりました。CMSの不具合ではなく、移行前に入口を記録していなかったことが、気づくまでの時間を長くしたのです。

waltsuが軸にしているのは試行回数です。移行前の記録があれば、移行後に何度でも比べ、ずれた所から直せます。記録が無ければ、1回の移行が賭けになります。URLを保ち、記録と突き合わせながら進めれば、移行はやり直せる作業に変わります。作り直す前に今の数字を読む進め方は、別記事で解説しています。

明日やる最初の一歩は、Search Consoleの表示回数上位20のURLと、問い合わせ完了直前に見られたページを1枚に書き出すことです。

左から右へ時間が流れ、移行前に記録を取り、移行し、移行後に同じ項目を取り直して突き合わせる3段階を示した図

よくある質問

EmDashに移行すればSEOは上がる?

CMSを替えること自体で順位が上がる根拠はありません。Googleは移転中の一時的な変動を通常のこととしており、URLと内容を保てば元の水準に戻るのが基本です。

AIOSEOの設定は自動で移る?

手順書とExporterが挙げるのはYoast SEOとRank Mathで、AIOSEOは含まれません。タイトルと説明文を書き出し、スラッグで突き合わせて移します。

Elementorで作ったページは移せる?

文字は移りますが、配置と装飾は別に保存されているため、そのままは再現されません。該当ページを数えて作り直す工数を見積もります。

リダイレクトはいつまで残す?

Googleは1年以上を目安に、できるだけ長く残すよう案内しています。EmDashはスラッグ変更時に301を自動で作りますが、ドメインの変更はホスト側で設定します。

開発者がいなくてもEmDashは使える?

記事の更新だけなら管理画面で可能です。ただし構築・デザイン変更・不具合対応はコードを扱う人が要るため、頼める体制が無いならWordPressを勧めます。

この記事の要点

・開発に慣れた人がサイトを触るならEmDash、そうでなければWordPress
・一時的な順位変動はGoogleも「通常のこと」。移行の価値はセキュリティ問題が深刻なとき
・Exporterが運ぶSEO項目はYoast SEOとRank Math。AIOSEOはスラッグで対応表を作る
・URLは1つも変えず、移行前に記録し、移行後に差分を取る

まとめ

WordPressとEmDashのどちらがおすすめかは、機能ではなく、公開後にサイトを触る人で決まります。コードを読み書きできる人が運用に関わるならEmDash、そうでなければWordPressです。

移行する価値があるのは、プラグイン起因のセキュリティ問題が深刻な場合です。その際は、SEO設定の保存場所を確かめ、URLを1つも変えず、プラグイン一覧に出ない機能を洗い出し、移行前後の差分を取ります。CMSの選定や、今のサイトを止めずに移行を検証する段取りに迷う場面が出てきたら、waltsuが現状の記録づくりから移行後の突き合わせまでご支援します。

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この記事を書いた人

藤井 俊輔

代表取締役

藤井 俊輔/ フジイ シュンスケ

ベンチャー企業の外部CMOや水族館のマーケティング担当などに従事。オンライン/オフライン問わず集客を中心としたマーケティング施策に強み。

システム・アプリ開発Web広告運用Web集客全般
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