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EmDashとは?WordPressとの違い・移行の範囲・試し方を解説

大きな1つの部屋に部品が詰まった建物と、小部屋に分かれた建物を並べ、CMSの作りの違いを表したアイキャッチ
マワルくん マワルくん
こんな人におすすめ
・WordPressで自社サイトを運用していて、EmDashが気になっている
・プラグインの更新や脆弱性への対応に手間を感じている
・乗り換えるべきか、試すならどこから始めるかを知りたい

2026年4月1日、CloudflareがEmDashという新しいCMSを公開しました。同社は「WordPressの精神的な後継」と位置づけ、9月28日には安定版の1.0を出しています。WordPressを使う会社には、乗り換えを考えるべきかが気になるところです。

EmDashは、TypeScriptで書かれたオープンソースのCMSで、プラグインを1つずつ隔離して動かす点が最大の違いです。判断の分かれ目はCMSの性能ではなく、今のサイトがどれだけプラグインに頼っているかです。本記事では、仕組みと違い、移せるもの、費用、注意点、小さく試す手順を整理します。

この記事のゴール(読了目安 約8分)

EmDashとWordPressの違いを説明でき、自社サイトで試すかどうかと、試すならどの範囲から始めるかを決められるようになる。

EmDashとは

Cloudflareが公開したCMS

EmDashは、Cloudflareが2026年4月1日に発表したCMSです。TypeScriptで書かれ、表示の部分にはWebサイトを作る枠組みのAstroを使います。ライセンスはMITで、GitHubで公開されています。

WordPressの機能との互換を目指していますが、WordPressのコードは使っていないと同社は説明しています。同社によれば、発表時点で約2か月、AIのコーディングエージェントに作らせてきたプロジェクトです。AIで開発を進めること自体は別記事で解説しています。

2026年10月時点の状態

4月の版は試験公開の0.1でしたが、ほぼ毎週の更新を経て、9月28日に1.0が出ました。Cloudflareは1.0を本番のサイトに使える安定版と位置づけ、互換性を損なう変更は今後メジャー版でだけ行うとしています。10月1日には1.1も公開されました。

EmDashが、Astroで作る表示部分、管理画面、隔離されたプラグイン、AIから操作する窓口で構成され、Cloudflare WorkersかNode.jsのサーバーで動くことを示した図

WordPressとの違い

主な違いは次のとおりです(2026年10月時点)。

項目 WordPress EmDash
言語 PHP TypeScript
動く場所 PHPが動くサーバー Cloudflare WorkersかNode.jsのサーバー
プラグイン サイト本体と同じ処理の中で動く 1つずつ隔離された環境で動く
デザイン PHPで書くテーマ Astroで作るテーマ
ログイン パスワードが基本 パスキーが標準
ライセンス GPL MIT
実績 公開から20年以上 安定版は2026年9月から

調査会社W3Techsによれば、WordPressは全サイトの40.2%で使われています(2026年10月時点)。規模も歴史も違うため、EmDashは置き換えというより、作り方の違う選択肢です。

プラグインを隔離する仕組み

WordPressのプラグインはサイト本体と同じ処理の中で動き、データベースやファイルにそのまま触れられます。EmDashはプラグインごとに隔離された環境を用意し、次の流れで権限を絞ります。

  • 宣言: 「記事を読む」「メールを送る」など、必要な権限をプラグインが一覧に書く
  • 承認: 管理者が求められた権限を見てから入れる
  • 制限: 宣言していない通信やデータには触れられない

Cloudflareは発表で「WordPressサイトのセキュリティ問題の96%はプラグインに起因する」と書きました。元はセキュリティ企業Patchstackの報告書で、2024年に新しく見つかった脆弱性のうち96%がプラグインだった、という数字です。「96%」は被害の割合ではなく、新しく見つかった脆弱性の内訳です。同社の最新版では、2025年の内訳はプラグイン91%、テーマ9%でした。

WordPressで新しく見つかった脆弱性のうち、プラグインが2024年は96%、2025年は91%を占めたことを示す帯グラフ

AIから操作できる設計

EmDashは、AIエージェントに管理を任せる前提で作られ、次の3つを備えています。

  • MCPサーバー: サイトごとに用意され、管理画面と同じ操作をAIから行える
  • CLI: 画像のアップロードや記事の検索、項目の定義をコマンドで行える
  • Agent Skills: プラグインの作り方やWordPressのテーマの移し方を、AIに教える手引き

文字列の置き換えや項目の移し替えのように、手で繰り返すと時間のかかる作業をAIに渡しやすいのが利点です。AIに管理画面の操作を渡すときの権限の考え方は、別記事で解説しています。

WordPressから移せるもの

移行は、WordPressの書き出しファイルを読み込むか、WordPress側に専用のプラグイン「EmDash Exporter」を入れて行います。公式の手順書による扱いは次のとおりです。

対象 扱い
投稿・固定ページ・カスタム投稿 移せる
カテゴリ・タグ・画像 移せる。画像は元のサイトから取り込む
メニュー・SEOの設定 専用プラグイン経由なら移せる
予約投稿・非公開の記事 下書きとして入る
テーマ 移らない。Astroで作り直す
プラグイン 移らない。代わりを探すか作る

ショートコードやページビルダーの部分は、変換結果を目で確かめます。手順書が求めているのは、新しいサイトが本番で安定するまで旧サイトを残すことです。移行で検索の評価を落とさない注意点は、別記事で解説しています。

動かす場所と費用

本体は無料で、費用は動かす場所にかかります。

  • Cloudflare Workers: 無料プランでも動く。ただし、プラグインを隔離して動かすには有料プランが要る
  • Node.jsのサーバー: 自社のサーバーやほかのクラウドで動く。隔離はWorkersと同じ実行環境を別に起動して行う

Workersの有料プランは月5ドルからで、月1,000万リクエストまでが基本料金に含まれます(2026年10月時点)。画像のサイズ変換は無料プランで月5,000件までで、超えると新しい変換が失敗します。隔離を使うかどうかで、必要なプランが変わる点は先に押さえておきましょう。

使う前に知る注意点

安定版が出たとはいえ、次の点には注意が要ります。

  • 歴史が浅い: 1.0までの半年で40を超える版を重ねた
  • 部品が少ない: プラグインの登録所は1.0と同時に始まったばかり
  • 日本語の情報: 管理画面には日本語の翻訳があるが、国内の事例や解説はまだ少ない

WordPressの共同創業者マット・マレンウェッグ氏は、発表の翌日に自身のブログで反論しました。どこでも同じコードが動くことがWordPressの精神で、EmDashはCloudflareのサービスを売るために作られたと思う(それ自体は構わない)という趣旨です。隔離はCloudflare上でしか働かないとも指摘しました。一方で1.0の公式文書には、Node.jsでも同じ隔離が動くと書かれています。双方の主張は、自社の環境で確かめてから判断するのが妥当です。

小さく試す進め方

向き不向きは次のとおりです。

  • 試す価値が高い: お知らせやブログが中心で、プラグインが少ないサイト。Astroで作ったサイト
  • 急がなくてよい: 会員、予約、ネット販売などをプラグインに頼っているサイト

進め方は3段階です。

  • 触る: 公式のお試し環境で管理画面を操作する
  • 写す: 書き出したデータを別の環境に取り込み、表示を比べる
  • 決める: 足りない機能を書き出し、代わりの手段があるか確かめる

【プロの視点】移行はプラグインの棚卸しで決まる

新しいCMSの比較は、速さや安全性、AIへの対応といった機能の表で語られがちです。ただ、WordPressから移るときに手間が出るのは、プラグインが担っていた仕事です。フォーム、SEOの設定、予約、会員といった機能は、1つずつ代わりを用意することになります。

見るべきは「EmDashに何ができるか」ではなく、今のサイトでプラグインが何を担っているかです。棚卸しをすると、プラグインは3つに分かれます。EmDashの標準機能で足りるもの、作り直しが要るもの、もう使っていないものです。

3つ目が多いなら、乗り換えより先に外すだけで守る対象が減ります。2つ目が多いなら、作り直しの費用が判断を左右します。

明日やる最初の一歩は、管理画面のプラグイン一覧を書き出し、それぞれ「何のために入れたか」を1行ずつ書き添えることです。

今のサイトのプラグイン一覧を、標準機能で足りるもの、作り直しが要るもの、もう使っていないものの3つに仕分ける図

【waltsu視点】保守の中身を測ってから選ぶ

このブログもWordPressで運用しています。制作したサイトの保守契約では、サーバーの管理、PHP・WordPress・プラグインの版の管理、フォームの動作確認を「保守」とし、記事などの更新とは別の扱いです。小さな更新はリスクに応じて月1回か、緊急時はすぐに当てます。

EmDashの隔離は、この守る作業の中身を変えるかもしれません。ただ、変わるかどうかは自社のサイトで試すまで分かりません。waltsuが軸にしているのは試行回数です。乗り換えを1回の大きな決断にせず、小さく何度も試せる形にするのが、この局面での進め方です。

あるWordPressサイトのリニューアルでは、今の環境に手を加えず新しい環境を別に作り、最後にドメインの向き先を切り替えることにしました。EmDashも同じ形で試せます。明日やる最初の一歩は、プラグインに頼っていないお知らせのような部分を1つ選ぶことです。

今のWordPressのサイトを残したまま、別の環境でお知らせなど1つの部分だけを試し、確かめてから向き先を切り替える流れを示した図

よくある質問

EmDashは無料で使える?

本体はMITライセンスで無料です。動かす場所の費用は別で、Workersでプラグインを隔離するには月5ドルからの有料プランが要ります(2026年10月時点)。

WordPressのプラグインは使える?

使えません。PHPで書かれたプラグインは動かないため、EmDash向けの代わりを探すか作り直します。移植をAIに手伝わせる手引きは公式に用意されています。

Cloudflare以外でも動く?

Node.jsが動くサーバーで動きます。1.0の公式文書では、プラグインの隔離もNode.jsで使えるとされています。

本番のサイトに使える?

Cloudflareは1.0を本番向けの安定版とし、自社のブログも8月にEmDashへ移しました。重要なサイトは別の環境で確かめてから切り替えます。

同じ名前の別製品がある?

あります。複数のAIコーディングエージェントを並べて動かす開発環境にも「Emdash」という製品があり、CMSとは別物です。この種の開発環境は別記事で解説しています。

この記事の要点

・EmDashはCloudflareが公開したオープンソースのCMSで、9月28日に1.0が出た
・最大の違いは、プラグインを1つずつ隔離し、宣言した権限だけを渡すこと
・テーマとプラグインは移らない。移るのは記事や画像などの中身
・判断の前に、今のサイトでプラグインが何を担っているかを棚卸しする

まとめ

EmDashは、TypeScriptとAstroで作られた新しいCMSで、プラグインを隔離して動かす点がWordPressとの最大の違いです。9月に安定版が出た一方、歴史と部品の数ではWordPressに及びません。

乗り換えるかどうかは、今のサイトでプラグインが何を担っているかで決まります。棚卸しをして、頼っていない部分から別の環境で小さく試すのが確実です。CMSの見直しや、今のサイトを止めずに新しい仕組みを試す段取りに迷う場面が出てきたら、waltsuが現状の整理から検証の設計までご支援します。

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この記事を書いた人

藤井 俊輔

代表取締役

藤井 俊輔/ フジイ シュンスケ

ベンチャー企業の外部CMOや水族館のマーケティング担当などに従事。オンライン/オフライン問わず集客を中心としたマーケティング施策に強み。

システム・アプリ開発Web広告運用Web集客全般
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