・UiPathで業務の自動化を担当している
・Claude CodeやCursorに開発を任せ始めている
・正式に使えるのか、何が別料金なのかを確かめたい
UiPath for Coding Agentsは、Claude CodeやCursorなどのコーディングエージェントに言葉で頼むだけで、UiPathの自動化を作り、試し、運用まで進められる仕組みです。一般提供は一度に始まったのではなく、2026年7月から9月にかけて機能ごとに順に始まりました。8月3日に一般提供となったのは、運用の部分です。
見るべきは作る速さではなく、止まったときに直せるかです。本記事では公式のリリースノートとドキュメントをもとに、仕組み、提供の流れ、対応するエージェント、必要な契約、権限とデータの扱いを整理します。
この記事のゴール(読了目安 約8分)
UiPath for Coding Agentsの仕組みと一般提供の範囲を説明でき、必要な契約・権限・データの扱いを確かめたうえで、最初に試す業務を決められるようになる。
UiPath for Coding Agents
言葉でRPAを作る仕組み
公式のドキュメントは、別の設計画面に切り替えずに、言葉で頼むとコーディングエージェントが実際に動くUiPathのプロジェクトを作り、実行し、テストする仕組みだと説明しています。作られる自動化と動かす基盤はこれまでと同じで、変わるのは作り方です。対象はUiPathで自動化を作ってきた人だけでなく、手順を言葉で説明できる業務担当者も含まれると、日本法人の発表は述べています。
RPAとは何か
RPAは、請求書の転記のように手順が決まったパソコン作業を、ソフトウェアのロボットに代わりにやらせる仕組みです。手順そのものを考えるAIエージェントとの違いは別記事で解説しています。

一般提供までの流れ
発表から一般提供までの経緯を、公式の発表とリリースノートで並べると次のとおりです。
なお5月の英語の発表は「企業の顧客に提供中」と書いていますが、ドキュメント上の公開プレビューは7月8日からです。「8月に一般提供」という紹介は、8月3日の運用部分を指すと読めます。一般提供かどうかは機能ごとに判断するのが正確で、10月時点でもプレビューの機能が残っています。公式が一般提供と呼ぶのは、スキルごとの状態表で「安定」と記されたものです。
CLIとスキルでつながる
CLIが接続と操作を担う
コーディングエージェントとUiPathの間に入るのは、UiPathのCLIと呼ぶコマンドの道具です。組織へのログイン、プロジェクトのひな形づくり、実行と公開を受け持ちます。インストールは1行のコマンドで済み、手元にあるエージェントを見つけてスキルも一緒に入れます。
スキルが作法を教える
スキルは、RPAの組み方などUiPath流の作法をエージェントに教える手順書の集まりで、公開リポジトリで管理されています。スキルが作法を、CLIが接続を受け持つ分担です。たとえば「未読メールの添付をフォルダに保存して」と頼むと、エージェントはRPAのスキルで組み方を確かめ、CLIでプロジェクトを作って動かします。
外部の道具をつなぐ共通規格のMCPを介す仕組みではありません。MCPの位置づけは別記事で解説しています。

対応するコーディングエージェント
発表時はClaude CodeとCodexの2つでしたが、10月4日時点のドキュメントでは次の10種に増えています。
- エディタ型: Cursor、GitHub Copilot、Kiro、Windsurf
- ターミナル型: Claude Code、Codex、OpenCode、Antigravity CLI、Devin
- UiPath製: UiPath Autopilot
公式は、チームがいま使っているエージェントで始めるのがよいとしています。どれを選んでもスキルと作られるプロジェクトは同じだからです。UiPathのためだけに道具を乗り換える理由は無い、というのが公式の立場です。コーディングエージェントそのものの位置づけは別記事で解説しています。
作る・試す・運用する
作れるもの
- RPA: 画面操作の手順を部品として保存し、使い回せる形で作る
- AIエージェント: 目標に向けて判断しながら動くもの
- Maestro Flow: 人・ロボット・システムをつなぐ業務の流れ
- 人の承認: 支払いの前などに人の判断を挟む手順
ほかに、画面つきのアプリ、外部サービスを呼ぶ連携、書類の読み取りも一般提供です。RPAは、見直しやすい低コードの形とC#で書く形を選べ、指定しなければ低コードで作られます。業務の見直しから自動化の候補を挙げる機能などは、まだプレビューです。
運用と原因調査
ジョブの開始と停止、フォルダや権限の整理、監査ログの確認を言葉で頼めます。「昨日失敗したジョブを原因ごとにまとめて」のように結果を言えば、操作を選ぶのはエージェントです。失敗したジョブの原因を、記録をもとに順に絞り込む機能もあります。
必要な契約と費用
製品単体の価格表は、10月4日時点で公式に見当たりません。必要なものは次の3つです。
UiPathの料金ページには無料のプランがあり、有料は月25ドルから、上位のプランは問い合わせです。コーディングエージェント側の費用は別にかかると公式が明記しています。
権限と確認の設計
公式が示す信頼の考え方は次のとおりです。
- 権限は引き継ぐ: エージェントはログインしたアカウントの権限をそのまま持つ
- 専用のアカウント: 必要な権限だけを持つ専用の認証を推奨
- 有人で動かす: 人が立ち会う実行が安全な初期設定
- 書く前に聞く: 作成・変更・削除の前には利用者に確認する
自分のアカウントでログインすると、自分にできることは全部できる点に注意が要ります。ログインは、ブラウザで人が入る方法と、権限を絞った認証情報で入る方法の2つです。記録に残るのはログインしたアカウントなので、1つを数人で共有すると誰の操作か区別できません。また生成されたコードが社内規程に沿うかは検証されず、本番の前に確かめるのは利用者の責任です。エージェントの権限の一般的なリスクは別記事で解説しています。
導入前に確かめること
送られる利用データ
CLIとスキルの利用状況は、UiPathが管理する西ヨーロッパのデータセンターへ送られます。匿名ではなく、利用者と組織を識別する情報が付く一方、ファイルの中身やエージェントとのやり取りは送られません。保存期間は初期設定で90日で、送信は設定で止められます。
日本語の資料と社内ネットワーク
日本語の製品ページはありますが、手順のドキュメントは確認時点で英語でした。社内でソフトの取得先を制限している場合は、UiPathの部品一式を許可する必要があります。
【プロの視点】RPAの費用は作った後に出る
紹介の多くは「言葉で頼めば速く作れる」で終わります。ですがUiPathの創業者は発表のブログで、コーディングエージェントが縮めるのは仕事の最初の1割だと書いています。
RPAの手間が出るのは作った後です。公式のドキュメントも、自動化の手間と費用の多くは最初の版を出した後の運用と保守にかかると書いています。画面が変われば止まり、取引先の様式が変われば直し、担当者が替われば読み解き直します。公式も、画面要素の取得結果は下書きとして実物で確かめるよう求めています。
だから見るべきは、止まったときに誰が原因を突き止めて直せるかです。この製品の価値は作成より、原因調査や運用まで同じ会話で扱える点にあります。試す業務は、止まっても手で回せるものから選んでください。直す人が決まっていない自動化は、作るのが速いほど数が増え、止まったときの負担も増えます。

【waltsu視点】確かめる手段を残して試す
計測タグの設定を自動化しようとしたとき、一括で流す方法を検討しましたが、セキュリティの不安と設定ミスへの懸念から、最終的にブラウザで画面を操作する方法に切り替えました。間違えたときに本番に影響する作業ほど、人が確かめられる手段を残すという判断です。
UiPathの推奨する有人実行と書き込み前の確認も、同じ考え方です。確かめる関門があるから、失敗を恐れずに試す回数を増やせます。逆に関門を外して速さを取ると、一度の事故で自動化そのものが止められ、試す機会ごと失います。
明日できることを1つ。エージェント専用のアカウントを1つ作り、テスト用のフォルダだけに権限を付けてください。そこが最初の試し場になります。最初は一覧や記録の読み取りだけを頼み、書き込みは毎回自分で承認する、から始めれば十分です。

よくある質問
無料で試せますか
UiPathには無料のプランがあり、製品ページも無料で試す入口を案内しています。どの機能まで使えるかは、始める前に確かめてください。
Claude Codeの料金は別ですか
別です。公式は、AIモデルの利用料は別途購入が必要としています。UiPath側の契約とは分けて予算を見てください。
MCPでつながるのですか
いいえ。UiPathのCLIとスキルでつながります。MCPのサーバーを登録するスキルは開発中です。
UiPath Studioは不要になりますか
不要にはなりません。低コードで作った自動化はStudioで見直せ、画面要素の取得をStudioで仕上げる場面もあります。
勝手に本番を変更しませんか
作成・変更・削除の前に確認する設計です。ただしログインした権限は全部持つため、専用のアカウントで範囲を絞ってください。
この記事の要点
・コーディングエージェントからUiPathの自動化を作り運用する仕組み
・一般提供は7〜9月に機能ごと。8月3日は運用の部分
・つながりはCLIとスキル。AIモデルの費用は別
・見るべきは作る速さより、止まったときに直せるか
まとめ
UiPath for Coding Agentsは、普段のコーディングエージェントからUiPathの自動化を作り、試し、運用まで進められる仕組みです。一般提供は機能ごとに進み、10種のエージェントに対応しています。つながりはCLIとスキルで、エージェントはログインしたアカウントの権限で動きます。
始めるなら、専用のアカウントとテスト用のフォルダを用意し、止まっても手で回せる業務から試してください。
AIに任せる自動化の範囲や、人が確かめる関門の置き方に迷う場面が出てきたら、waltsuが業務の切り分けから運用の設計までご支援します。
