マーケティング基礎

STP分析とは?3つの要素・やり方・具体例をわかりやすく解説

STP分析
マワルくん マワルくん
こんな人におすすめ
・STP分析の意味を知りたい
・ターゲットの決め方に悩む
・3Cや4Pとの違いが曖昧

「STP分析」はマーケティングの代表的なフレームワークですが、S・T・Pがそれぞれ何を指すのか、3C分析や4P分析とどう使い分けるのかを説明できる方は多くありません。「ターゲットは20〜30代」と決めてはみたものの、そこから戦略が進まない、という悩みもよく聞きます。

先に結論をお伝えすると、STP分析とは市場を分け(Segmentation)、狙う顧客を決め(Targeting)、選ばれる立ち位置を決める(Positioning)フレームワークです。そして重要なのは、3つの表をきれいに埋めることではなく、「誰を狙い、何を理由に選ばれるか」を決めること。STPは市場分析の道具ではなく、マーケティングの「選択と集中」を行うための意思決定の道具です。

本記事では、STP分析の意味と3つの要素、やり方、セグメンテーションの切り口、ターゲットとポジショニングの決め方、具体例、3C・4Pとの関係まで解説します。

この記事のゴール(読了目安 約10分)

STP分析を「市場の分類作業」で終わらせず、自社の商品・サービスについて「誰に、何を理由に選ばれるか」まで決められるようになる。

STP分析とは

STP分析とは

STP分析とは、Segmentation(市場の細分化)、Targeting(狙う市場の決定)、Positioning(立ち位置の決定)の頭文字を取ったマーケティングフレームワークです。市場を分ける→狙いを定める→選ばれる理由を作る、という3段階で戦略の骨格を決めます。

STP分析の目的

STP分析の目的は、限られた資源で成果を出すための「選択と集中」です。

すべての顧客に、すべての価値を届けることはできません。だからこそ、どんな顧客が存在するのかを整理し、誰に集中するのかを選び、その顧客から何を理由に選ばれるのかを決める。この意思決定こそがSTP分析の役割です。

使うタイミング

新商品・新サービスの立ち上げ時、既存事業のターゲット見直し時、競合が増えて差別化が必要になったとき、そして「ターゲットは決めたが戦略が進まない」ときに使います。位置づけとしては、環境分析(3C分析など)の後、施策設計(4P分析など)の前です。

STP分析の3つの要素

3つの要素を、それぞれ「答えるべき問い」とセットで理解しましょう。以下の表にまとめます。

要素 やること 答える問い
Segmentation 市場を細分化する どんな顧客が存在する?
Targeting 狙う市場を決める 誰に集中する?
Positioning 立ち位置を決める 何を理由に選ばれる?

セグメンテーション

セグメンテーションとは、市場を「似たニーズを持つ顧客のかたまり(セグメント)」に分けることです。年齢・地域・業種・価値観・行動など、後述する切り口で市場を整理します。目的は分類そのものではなく、「狙いを定められる単位」に市場を分解することです。

ターゲティング

ターゲティングとは、分けたセグメントの中から、自社が狙う市場を選ぶことです。すべてのセグメントを狙うのではなく、市場の魅力と自社との相性から「集中する相手」を決めます。

ポジショニング

ポジショニングとは、選んだターゲットの頭の中で、自社が競合とどう違う存在として認識されるかを設計することです。「顧客がどう認識するか」の話であり、自社が何を言うかだけでは決まりません。競合との比較の中で、選ばれる理由を作ります。

STP分析のメリット

STP分析を行うメリットを4つに整理します。

狙う市場を明確にできる

「誰に売るのか」が明確になると、市場調査、商品改善、広告、営業のすべてに判断基準ができます。迷ったときに立ち返る基準ができることが、最初のメリットです。

顧客を絞り込める

「全員に売りたい」は、実質「誰にも刺さらない」と同じです。顧客を絞ることで、メッセージが具体的になり、限られた予算と人員を集中投下できます。中小企業ほど、この集中の効果は大きくなります。

競合との差を整理できる

ポジショニングの検討を通じて、競合と自社の違いが言語化されます。「なぜ他社ではなく自社なのか」に答えられる状態は、価格競争から抜け出す第一歩です。

施策に一貫性を持たせられる

STPが決まっていれば、商品・価格・チャネル・広告のすべてを同じ方向に揃えられます。逆にSTPが曖昧なまま施策を打つと、広告とサイトと営業トークがバラバラになりがちです。

STP分析のやり方

STP分析の4ステップ

実際の進め方を4ステップで解説します。

市場を把握する

最初に、市場の全体像をつかみます。市場規模、成長性、顧客のニーズ、競合の顔ぶれ。ここは3C分析の結果をそのまま活用できます。いきなり市場を分け始めず、まず全体を見ることが重要です。

市場を分ける

把握した市場を、切り口(次章で解説)を使ってセグメントに分けます。分けた後に、各セグメントのニーズ・規模・特徴を簡潔に言語化しておくと、次のステップの判断材料になります。

ターゲットを決める

セグメントの中から、狙う市場を選びます。選び方の観点は「ターゲットの決め方」の章で解説します。

立ち位置を決める

最後に、選んだターゲットに対して、競合との違いと選ばれる理由を設計します。ポジショニングマップ(後述)を使うと整理しやすくなります。

セグメンテーションの切り口

市場を分ける代表的な切り口は4つあります。1つだけでなく、組み合わせて使うのが実務的です。

地理

国、地域、都市規模、気候など、地理的な条件で分ける切り口です。地域密着ビジネスや、地域によってニーズが変わる商材で有効です。

人口・属性

年齢、性別、職業、年収、家族構成、企業なら業種・企業規模など、属性で分ける切り口です。最も使いやすい反面、属性が同じでもニーズが同じとは限らない点に注意が必要です。

心理・価値観

ライフスタイル、価値観、こだわり、リスクへの態度などで分ける切り口です。「価格より品質を重視する層」「新しいものを試したい層」など、購買の動機に近い分け方ができます。

行動

購買頻度、利用状況、情報収集の方法、購入チャネルなど、実際の行動で分ける切り口です。データで検証しやすく、属性より実態に即したセグメントを作れることが多い切り口です。

ターゲットの決め方

セグメントを選ぶときは、次の4つの観点で評価します。

観点 見るポイント
市場規模 事業が成り立つ大きさがあるか
成長性 今後伸びる市場か、縮小する市場か
競争環境 強い競合がひしめいていないか
自社との相性 自社の強みが活き、価値を届けられるか

市場規模を見る

狙うセグメントに、事業として成立するだけの顧客数・金額規模があるかを確認します。ただし、大きい市場ほど良いとは限りません。大きい市場には強い競合がいます。

成長性を見る

現在の規模だけでなく、今後の変化を見ます。縮小していく市場で戦うより、これから伸びる市場で早く立ち位置を作るほうが有利です。

競争環境を見る

そのセグメントに、どんな競合がどれだけいるかを確認します。「大きいが激戦の市場」より「小さくても競合が手薄な市場」のほうが、中小企業には勝ち目があるケースが多いのが実際です。

自社との相性を見る

最後に、自社の強み・実績・リソースがそのセグメントで活きるかを確認します。魅力的な市場でも、自社の強みが刺さらなければ選ぶべきではありません。

ポジショニングの決め方

ポジショニングの決め方

ターゲットが決まったら、選ばれる立ち位置を設計します。進め方は3つです。

競合を整理する

まず、ターゲットが比較するであろう競合を洗い出します。重要なのは、自社が競合だと思っている相手ではなく、顧客の頭の中で比較される相手を挙げることです。代替手段(何もしない、内製する、など)も競合になり得ます。

比較軸を決める

次に、顧客が選ぶときに重視する2つの軸を選び、ポジショニングマップ(縦横2軸の図)に競合と自社を配置します。軸は「価格の高低」だけでなく、「サポートの手厚さ」「専門性」「スピード」など、顧客の選定基準になっている軸を選びます。

自社の強みを見つける

マップ上で競合が空けている場所と、自社の強みが重なるところが、狙うべきポジションです。空白であっても、顧客ニーズがない場所は意味がありません。「空いていて、かつ求められている」場所を探します。

STP分析の具体例

「中小企業向けのWeb集客支援サービス」を例に、S・T・Pを通して整理してみます。

市場を分ける

Web集客に関心のある企業を、企業規模(大企業/中小企業)、社内体制(マーケ担当がいる/いない)、課題意識(何をすべきか明確/そもそも何から始めるか分からない)で分けます。

顧客を決める

このうち、「マーケ担当がおらず、何から始めるべきか分からない中小企業」をターゲットに選びます。大企業向けは大手支援会社がひしめく激戦区ですが、このセグメントはニーズが強い割に、寄り添える支援会社が少ないためです。

立ち位置を決める

競合となる「格安の作業代行」や「高額な戦略コンサル」に対して、「専門用語を使わず、施策の実行まで伴走するパートナー」というポジションを取ります。ターゲットが本当に求めているのは、施策の代行でも高度な戦略書でもなく、「何をすべきか一緒に考えて動いてくれる相手」だからです。

このように、S・T・Pがつながって初めて「誰に、何を理由に選ばれるか」が言語化されます。

3C・4Pとの関係

3C・4Pとの関係

STP分析は、単体で使うものではありません。マーケティング戦略全体の中での位置づけを整理します。

3Cで環境を分析する

まず3C分析で、市場・顧客、競合、自社を把握します。STPで市場を分けたり、ターゲットを評価したりする材料は、ここで集まります。

STPで戦略を決める

3Cで把握した環境をもとに、STPで「誰を狙い、どこで勝つか」を決めます。STPは「分析」と「施策」の間にある戦略設計です。

4Pで施策に落とす

STPで決めた方針を、4P(製品・価格・流通・販促)で具体的な施策に展開します。顧客視点で点検する4C分析もここで併用します。3C→STP→4P/4Cという流れで、分析が施策までつながります。

分析時の注意点

STP分析でつまずきやすいポイントを4つ挙げます。

  • 市場を細かく分けすぎない: セグメントを細分化しすぎると、事業が成立しない小さな市場ばかりになる。「狙える単位」で止める
  • ターゲットを広げすぎない: 「絞ると売上が減りそう」という不安から広げると、誰にも刺さらなくなる。絞るからこそ選ばれる
  • 競合だけを見ない: 「競合がいない場所」は、ニーズもない場所かもしれない。空白より「求められている空白」を探す
  • データで検証する: 机上のSTPは思い込みになりがち。顧客の声・問い合わせ・アクセスデータなど実データで裏づける

成功させるポイント

最後に、STP分析を成果につなげるための4つのポイントです。

顧客から考える

「自社が売りたい相手」ではなく、「自社の価値を最も必要としている相手」から考えます。起点は常に顧客のニーズです。

自社の強みとつなげる

ターゲットとポジションは、自社の強みが活きる場所に設定します。強みと切り離されたSTPは、実行段階で破綻します。

競合との差を明確にする

「20〜30代を狙う」だけでは戦略になりません。その顧客が何を求め、どの競合と比較し、なぜ自社を選ぶのかまで言語化して、初めてポジショニングが完成します。

施策までつなげる

STPは決めて終わりではありません。決めたターゲットとポジションを、商品・価格・サイト・広告・営業トークまで一貫して反映させます。施策に落ちないSTPは、資料の中の分類図で終わります。

よくある質問

STP分析とは簡単にいうと?

市場を分け(Segmentation)、狙う顧客を決め(Targeting)、競合との違いから選ばれる立ち位置を決める(Positioning)フレームワークです。マーケティングの「選択と集中」を行うために使います。

STP分析はどの順番で行う?

S→T→Pの順番が基本です。市場全体を分けてから狙いを定め、最後に立ち位置を決めます。ただし実務では、ポジショニングを考える中でターゲットを見直すなど、行き来しながら精度を上げていきます。

3C分析との違いは?

3C分析は市場・競合・自社を把握する「環境分析」、STP分析はその情報をもとに「誰を狙い、どこで勝つか」を決める「戦略設計」です。3C→STPの順で使います。

4P分析との違いは?

4P分析は、製品・価格・流通・販促という「施策の設計」に使います。STPで決めた方針を、4Pで具体化する関係です。STP→4Pの順で使います。

BtoBでも使える?

使えます。BtoBでは、業種・企業規模・社内体制・課題意識などでセグメントを分け、決裁者と担当者それぞれの視点でポジショニングを考えると実務的です。

まとめ

この記事の要点

・STP分析は、市場を分け、狙う顧客を決め、選ばれる立ち位置を決めるフレームワーク
・本質は市場の分類ではなく、「誰に、何を理由に選ばれるか」の意思決定(選択と集中)
・3C(環境分析)→STP(戦略設計)→4P/4C(施策設計)の順で使う
・「20〜30代を狙う」で止めず、なぜ選ばれるのかまで言語化して施策に落とす

STP分析とは、市場を細分化し、狙う顧客を決め、競合との関係から自社の立ち位置を決めるフレームワークです。重要なのは、3つの項目をきれいに埋めることではありません。「どんな顧客が存在するのか」「誰に集中するのか」「その顧客から、何を理由に選ばれるのか」。この3つの問いに答えを出す意思決定こそが、STP分析の価値です。

ターゲットは決めているものの、競合との差別化や施策への落とし込みが進んでいないなら、それはSTPの後半(ポジショニング〜施策接続)が止まっているサインです。waltsuでは、市場・競合分析からターゲット設計、ポジショニング、施策への展開までご支援しています。

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この記事を書いた人

藤井 俊輔

代表取締役

藤井 俊輔/ フジイ シュンスケ

ベンチャー企業の外部CMOや水族館のマーケティング担当などに従事。オンライン/オフライン問わず集客を中心としたマーケティング施策に強み。

システム・アプリ開発Web広告運用Web集客全般
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