・マーケティングの進め方を知りたい
・何から手をつけるか分からない
・施策が成果につながらない
マーケティングに取り組むとき、「とりあえず広告を出す」「SEOを始める」「SNSを運用する」と、具体的な施策から考えてしまうケースは少なくありません。
しかし、マーケティングは施策から始めるものではありません。先に結論をお伝えすると、市場や顧客を理解し、誰を狙うのかを決め、何を価値として提供するのかを定め、どのように届けるかを設計し、成果を検証する。この「考える順番」こそがマーケティングプロセスです。そして実務では、この流れは一直線ではなく、検証しながら循環させる仕組みとして回します。
本記事では、マーケティングプロセスの基本6ステップ、各段階で使うフレームワーク、プロセスの前に決めるべきこと、具体例、よくある失敗、AIでの効率化まで解説します。
この記事のゴール(読了目安 約9分)
マーケティングを正しい順番で考えられるようになり、自社の課題がプロセスのどこにあるのかを特定して、必要な施策を選べるようになる。
マーケティングプロセスとは

マーケティングプロセスとは、市場や顧客を分析し、戦略を決め、施策を実行・評価するまでの一連の流れのことです。
基本の流れは、市場・環境分析→セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング→マーケティングミックス(施策設計)→実行・評価、の6ステップです。
重要なのは、それぞれを独立して考えないことです。市場分析で分かったことがターゲティングにつながり、ターゲットによってポジショニングが変わり、ポジショニングによって商品・価格・広告などの施策も変わる。マーケティングプロセスは、「マーケティングで何を、どの順番で考えるのか」を整理するための基本の型です。
マーケティングプロセスの6ステップ
各ステップでやることを順に解説します。以下の表が全体像です。
市場・環境を分析する
最初に、「現在どのような市場で戦っているのか」を把握します。市場規模、成長性、顧客ニーズ、競合、自社の強み・弱み、社会環境や技術変化などを確認します。
この段階で重要なのは、大量の情報を集めることではなく、「市場のどこにチャンスがあるのか」を考えることです。
市場を分ける
次に行うのがセグメンテーションです。年齢・地域・企業規模・業種・課題・価値観・購買行動などの基準で、市場に存在する顧客をグループに分けます。すべての顧客を同じように狙うのではなく、「どんな顧客が存在しているのか」を整理する工程です。
ターゲットを決める
分けたセグメントの中から、自社が狙う顧客を決めます。市場規模、成長性、競争環境、自社との相性、利益性などが判断基準です。重要なのは、「買ってくれそうな人を全部狙う」のではなく、「誰を優先するのか」を決めることです。
ポジションを決める
次に、「ターゲットから何を理由に選ばれるのか」を決めます。競合と同じ価値では、比較されたときに価格競争になりやすい。顧客が求めている × 競合が十分に提供できていない × 自社が提供できる領域を見つけることが重要です。
施策を設計する
ターゲットとポジショニングが決まったら、4P(商品・価格・流通・販促)で施策に落とし込みます。顧客側から点検する4C分析もセットで使えます。Webサイト、SEO、広告、SNS、営業といった具体的な施策を考えるのは、ここまで決めた後です。
実行・評価する
施策を実行したら、アクセス数・問い合わせ数・商談数・受注数・CPAなどの結果を確認します。重要なのは「成果が出た・出なかった」だけを見ないこと。なぜ成果が出たのか、どこに問題があるのか、次に何を変えるのかまで分析し、次の施策につなげます。
プロセスで使うフレームワーク
各段階で使う代表的なフレームワークを、役割別に整理します。
市場・環境分析ではPEST・5フォース・3C・SWOT。ターゲット・戦略設計ではSTP。施策設計では4P・4C。顧客体験の設計ではカスタマージャーニー・AIDMA・AISAS。効果測定・改善ではKPI・PDCA。
重要なのは、有名なフレームワークを全部使うことではありません。プロセスの中で「今、何を判断したいのか」に応じて使い分けることです。各フレームワークの詳しい使い方と選び方は、別記事で解説しています。
プロセスの前に決めること

一般的なマーケティングプロセスは市場分析から始まります。しかし実務では、その前に「何のためにマーケティングをするのか」を明確にしておくことが重要です。
事業目標を決める
売上を増やす、新規顧客を増やす、新市場へ参入する、継続率を高める。まず事業として何を達成したいのかを決めます。
マーケティング目標を決める
事業目標から逆算して、マーケティングで実現することを分解します。たとえば「売上を増やす」なら、商談を増やす→問い合わせを増やす→Webサイトへの流入を増やす、という形です。
KGI・KPIを決める
最終目標(KGI)と途中の指標(KPI)を設定します。目的が決まっていなければ、「広告のクリック数は増えたけれど、事業に貢献しているのか分からない」という状態に陥ります。プロセス全体の成否を測る物差しを、始める前に用意しておくということです。
マーケティングプロセスの具体例
「法人向けWebサービスの問い合わせを増やしたい」企業を例に、6ステップを通してみます。
分析からポジショニングまで
市場・環境分析では、DX需要が拡大しており、競合は大企業向けの高価格サービスが中心、自社は中小企業向けに低コストで提供できる、と整理できました。セグメンテーションで市場を企業規模と課題で分け、ターゲティングで「専任のIT担当者がいない中小企業」を優先ターゲットに決定。ポジショニングは、高機能さではなく「専門知識がなくても簡単に導入できる」という価値で差別化します。
施策設計から実行・評価まで
施策は、簡単に導入できるサービス設計(商品)、中小企業でも導入しやすい料金(価格)、オンライン販売(流通)、SEO・Web広告・事例コンテンツ・資料ダウンロード(販促)。実行後は、アクセス→資料ダウンロード→問い合わせ→商談→受注の数字を確認し、ボトルネックを改善していきます。
このように、分析からの一貫した流れがあるからこそ、施策の選択とKPIに迷いがなくなります。
よくある失敗
プロセスがうまく機能しないときの典型パターンを5つ挙げます。
- 施策から考える: 「SEOをやろう」「広告を出そう」から始めてしまう。施策は「誰に・何を・なぜ届けるのか」を決めた後に選ぶもの
- 分析だけで終わる: 3CやSWOTを作って満足してしまう。分析の目的は状況の理解でなく、次の意思決定
- ターゲットが広すぎる: 「20〜60代」「中小企業全般」では、提供価値もメッセージも曖昧になる
- 戦略と施策がつながらない: ターゲットは経営者なのに、施策は若年層向けSNSだけ、という不一致。プロセス全体の一貫性を確認する
- 実行して終わる: 施策の実行で満足しない。実行→計測→分析→改善までが1セット
BtoBとBtoCで変わる?
マーケティングプロセスの基本的な流れは、BtoBでもBtoCでも大きく変わりません。ただし、顧客の購買行動が異なります。以下の表にまとめます。
基本プロセスは同じでも、顧客分析・カスタマージャーニー・KPIの設計は、自社の事業に合わせて調整してください。
AIで効率化する方法
生成AIは、マーケティングプロセスの全工程で活用できます。
市場・環境分析では情報整理・競合比較・口コミ分析。戦略設計ではターゲット候補・ポジショニング案・訴求案の出し分け。施策設計ではSEO企画・広告コピー・LP構成。実行では文章・画像の生成やレポート作成。分析・改善ではデータ整理と改善案の作成。
ただし、誰を狙うのか、何を価値とするのか、どこに投資するのか、という最終的な判断は人間が行います。AIはプロセスを代替するものではなく、各工程を高速化するものとして活用してください。具体的な進め方は、AI活用の個別記事で解説しています。
【プロの視点】プロセスは一直線ではない

6ステップを見ると、分析→戦略→施策→実行という一直線の流れに見えます。しかし、実務では一度決めて終わりではありません。
たとえば、広告を実行したら想定していたターゲットが反応しない。そこで顧客データを分析し、ターゲットを見直し、訴求を変えて再度実行する。こうした行き来は失敗ではなく、正常なプロセスです。
つまり実務のプロセスは、分析→戦略→施策→実行→計測→改善→再び分析、という循環です。マーケティングプロセスは「正解を一度で作る手順」ではなく、「仮説を作って検証し続ける仕組み」として捉えてください。
【waltsu視点】施策でなくプロセスで考える

マーケティング支援の現場では、「SEOをやりたい」「広告を改善したい」「サイトをリニューアルしたい」という施策の相談から始まることが多くあります。しかし、本当にその施策が課題なのかは、実は分かりません。
たとえば「問い合わせが少ない」という同じ課題でも、認知が少なく流入が足りないケースもあれば、サイトには来ているのに問い合わせ率が低いケースもあります。さらに、問い合わせは多いのに商談化しないのであれば、Web集客ではなくターゲットや訴求、つまり戦略側に問題がある可能性もあります。
だからこそ、課題→分析→戦略→施策→実行→検証の順番で考える。マーケティングで成果を出すために重要なのは、「どの施策をやるか」より先に、「マーケティングプロセスのどこに問題があるのか」を見つけることです。waltsuの支援も、必ずこの切り分けから始めています。
よくある質問
マーケティングプロセスとは簡単にいうと?
市場や顧客を分析し、ターゲットや提供価値を決め、具体的な施策を実行・評価するまでの一連の流れです。マーケティングを正しい順番で考えるための基本の型です。
マーケティングプロセスの順番は?
一般的には、市場・環境分析→セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング→マーケティングミックス(施策設計)→実行・評価の順で進めます。
STPとの違いは?
STPはマーケティングプロセスの一部です。プロセスの中盤で、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングによって「誰を狙い、何で選ばれるか」を決める役割を担います。
3C分析はどこで使いますか?
主に最初の市場・環境分析で使います。市場・顧客、競合、自社を分析し、その結果を後続のSTPにつなげます。
4P分析はどこで使いますか?
ターゲティングとポジショニングを決めた後の、施策設計(マーケティングミックス)で使います。商品・価格・流通・販促を具体化する工程です。
BtoBでも使えますか?
使えます。基本の流れは同じですが、BtoBでは意思決定者が複数いることや検討期間が長いことを踏まえて、顧客分析とKPIを設計する必要があります。
AIで自動化できますか?
調査・情報整理・分析・コンテンツ制作・改善案の作成など、多くの工程を効率化できます。ただし、目的設定・ターゲット選定・投資判断などの意思決定は人が行い、AIと役割を分けることが重要です。
まとめ
この記事の要点
・マーケティングプロセスは、分析→STP→施策設計→実行・評価という「考える順番」
・プロセスの前に、事業目標・KGI・KPIを決めておく
・一直線でなく循環。仮説を作って検証し続ける仕組みとして回す
・施策から考えず、「プロセスのどこに問題があるか」の切り分けから始める
マーケティングプロセスとは、市場・顧客を理解し、戦略を決め、施策へ落とし込み、実行・評価・改善するまでの一連の流れです。流行っている施策を実行するのではなく、正しい順番で考え、ボトルネックに対して必要な施策を実行する。この当たり前の徹底が、マーケティングの成果を分けます。
まずは自社のマーケティングを6ステップに当てはめて、「どこまで決まっていて、どこが曖昧なのか」を確認してみてください。施策には取り組んでいるのに成果が出ない場合、問題は施策そのものではなく、プロセスの上流にあるかもしれません。waltsuでは、課題の切り分けから戦略設計、施策の実行・改善までを一貫してご支援しています。
