・Rogue Studioの規約に何が書いてあるか知りたい
・無検閲をうたうAIが何を禁じているか確かめたい
・海外の生成AIの規約をどこから読むか迷っている
成人向けの映像・画像生成に特化したAIプラットフォーム「Rogue Studio」は、無検閲という言葉とともに紹介されることが多いサービスです。では、その利用規約とガイドラインには、実際に何が書かれているのでしょうか。
本記事では、公式サイトに掲載されている利用規約とガイドラインの原文を確認し、禁止事項、違反時の措置、誤検知、生成物の権利、課金と解約、紛争解決までを条項に沿って整理します。無検閲をうたうサービスほど、規約は禁止と利用者の責任で埋まっています。
この記事のゴール(読了目安 約10分)
Rogue Studioの規約とガイドラインが何を禁じ、違反や誤検知のときに何が起き、権利とお金と紛争をどう定めているかを、原文の条項に沿って説明できるようになる。
Rogue Studioの規約と指針
2つの文書の役割
確認したのは2つの文書です。1つは生成AIの使い方を定めたガイドライン、もう1つは契約全体を定めた利用規約です。ガイドラインは何を作ってはいけないかを短くまとめ、詳しくは利用規約を見るよう案内しています。利用規約は禁止事項に加えて、権利、課金、停止、免責、紛争解決まで扱う長い文書です。
運営会社と日付
契約の相手方は、米カリフォルニア州ビバリーヒルズのFangenie LLCで、Rogue Studioはその屋号です。利用規約の発効日は2026年1月27日、ガイドラインの最終更新日は2026年7月1日と記載されています。
英語の検索結果には、名前の似た別サービスの規約も出てきます。読むのはroguestudio.aiに掲載された版です。

禁止事項の全体像
ガイドラインの9項目
ガイドラインは、文脈や意図にかかわらず禁止する内容として次の9つを挙げています。近いものをまとめて6つに整理すると、次のとおりです。
- 未成年: 18歳未満、または未成年として描かれた人物の性的な内容
- 獣姦と近親相姦: 設定を問わず禁止
- ディープフェイク: 実在の人物を本人の同意なく写実的に描くもの
- 嫌がらせと差別: 特定の個人への攻撃、属性を理由にした集団への攻撃
- 暴力と自傷: 衝撃目的の残虐描写、自傷や自殺の助長
- テロと詐欺: 過激主義や違法な武器の助長、現実に害を与える欺瞞
成人向けの表現はこの範囲の内側で許可され、居住地の法令を守る責任は利用者にあると明記されています。他人の著作物を再現するための指示や参照画像、同意のない個人情報や私的な画像の露出も、別の章で禁止の対象です。
規約本文の禁止行為
利用規約はさらに細かく、利用中にしてはならない行為を22項目並べています。他の利用者への嫌がらせ、なりすまし、リバースエンジニアリング、競合製品を作る目的での利用、アクセス権の転売などです。ガイドラインにも、偽りのプロフィール、承認されたAPI以外のボットによる大量生成、指標の水増しを禁じる項目があります。生成したコンテンツは創作目的に限る、という一文も添えられています。
ディープフェイクの定義
ガイドラインにおけるディープフェイクの定義は、実在の識別できる人物を本人の文書化された同意なく写実的に描いたAI生成物です。記録に残る形の同意が前提と読めます。
利用規約では、著名人の画像は文書化された許可なしに使えず、私人の画像も同じ扱いです。リベンジポルノは生成も指示も禁止です。実在の人物に似せた性的な画像や映像、音声には「ゼロ容認」の方針を掲げ、削除と措置を取るとしています。
肖像を無断で使われた本人や代理人は、専用のフォームかメールで削除を申し出られます。申出には法的な氏名、身分証明書、該当する場所、同意していない旨の誠実な申告、電子署名などが必要です。
CSAMは他条項に優先
利用規約は、児童性的虐待素材(CSAM)に実写だけでなく合成やAI生成のものを含めています。さらに、未成年に似せた内容を作ろうとすること自体もCSAMと同じ扱いです。
試みた、またはシステムが検知したアカウントは直ちに無効化され、サブスクリプションごと解約される場合があります。素材は保全され、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)の通報窓口や当局へ共有されます。法令に従い、違反と判断しても本人には知らせないとも書かれています。利用者は、この方針が規約の他のどの条項よりも優先することに同意します。
違反すると何が起きるか
ガイドラインの冒頭によると、内容が検知されると生成がブロックされます。指示を書き直して再試行はできますが、違反を繰り返すと、利用の制限や停止につながることがあります。事業者はコンテンツの削除、アクセス制限、機能停止、アカウント無効化の権利を持つとしています。
監視は自動と人手の両方で行われ、未成年を搾取する内容はNCMECと法執行機関へ通報されます。規約は、モデレーション、CSAMの通報、著作権侵害の申立て、捜査への協力を担う責任者を置くとしています。停止や解約になっても返金はありません。本人の肖像が無断で使われた場合の削除申出には、5営業日以内に解決すると記載されています。

誤検知が起きる語
ガイドラインのよくある質問は、問題のない指示でも止まる例を具体的に挙げています。未成年の検知を厳しく設定しているため、日常語でも止まるという説明です。もどかしいが、合法性を保ってサービスを続けるための設定だという補足付きです。
動物を指す意味も持つ俗語は獣姦と誤読されるため、正式な名称に換えるよう案内しています。
画像の誤検知とバグ
画像側の未成年検知には、Amazonの画像認識サービス「Rekognition」を使っていると明記されています。誤検知が起きうることも認めており、理由なく繰り返すならサポートへ連絡すれば調査するという説明です。
特定のモデル「Rogue Style+」で止まりやすい点については、モデレーションのバグであり、遅くとも7月下旬に解消するとの回答が載っています。確認した版にはこの記載が残ったままで、解消したかどうかは文書からは判断できません。
生成物の権利と学習
生成物は利用者のもの
ガイドラインは、作ったものはあなたのものだと書いています。生成物と著作権の一般的な考え方は生成AIと著作権の記事で解説しています。利用規約でも、アップロードした素材の所有権は元の持ち主のままです。
学習は書面同意が条件
ガイドラインは「生成したコンテンツで学習しない」と言い切っています。一方、利用規約の書き方は、利用者の素材を書面による明示の同意なしに学習や再配布に使う権利は与えないというものです。裏返すと、書面で同意すれば使える余地が残ります。
事業者に与えるライセンスは無償・永久・取消不能・全世界ですが、使えるのはサービス提供のためだけとされ、再許諾も認められています。
商用はプラン次第
商用利用の権利は、加入しているプランによって異なる、というのがガイドラインの記載です。条件の詳細は各プランの説明を見るよう求めており、規約本文には書かれていません。なお、サービスへの改善提案や意見は、権利ごと事業者に帰属すると定められています。
責任は利用者側に置く
利用規約は、事業者を成人向けコンテンツの制作者や配信者ではなく、ツールを提供するソフトウェア事業者だと位置づけています。利用者のコンテンツを選んだり宣伝したりもしない立場です。同意の確認、米国法2257条の記録、知的財産の処理は利用者だけの責任です。
事業者は指示や生成物を事前に審査するものの、その正確さや適法性には責任を負わないと書かれています。サービスは現状有姿で提供され、免責が無効な場合でも、責任は過去12か月の支払額か法令上の最低額を超えないとしています。第三者から請求を受けた場合、利用者が弁護士費用を含めて事業者を補償する定めです。
年齢と本人確認
利用規約は、すべての利用者に18歳以上であることを求めています。購入する際には18歳以上であると表明する形で、18歳未満の人が制限を逃れる手助けも禁じています。
法人向けのEnterprise利用者には、本人確認が必須です。アップロードする内容が同意と年齢確認を含む法令を満たすことも証明しなければならず、事業者は同意の記録の提出を求められます。一般の利用者がどう年齢を確認されるかは、規約には書かれていません。
課金・解約・返金
個人向けの有料プランは、次のように定められています。
残り期間、未使用分、プラン変更のいずれも返金の対象外です。請求の問題は、誠実にできるだけ速く調べるとしています。事業者側から止めても返金はないことになります。
紛争は米国で仲裁
紛争はすべて、米ロサンゼルスでの仲裁で最終的に解決する定めです。準拠法はカリフォルニア州法、手続きは米国仲裁協会の商事仲裁規則で、仲裁人は1人です。賠償は実損の範囲に限られ、日本の裁判所で争う道は規約上想定されていません。
規約はいつでも変更でき、重要な変更はトップページのリンクを「Updated Terms」に30日以上替えて知らせます。変更後も使い続ければ同意した扱いです。ただし購入した商品やサービスには、購入した時点の版が適用されます。Enterprise契約は満了の30日前までに通知しなければ自動で延長され、利用者であることを示す目的で、事業者が利用企業の社名とロゴを使える条項もあります。法人契約と規約が食い違うときは、法人契約がその条項を名指しして優先を定めていない限り、優先されるのは規約です。法人向けのサポートは太平洋時間の平日9時から17時で、24時間以内の返信を目指すものの義務ではないとされています。
【プロの視点】責任の置き場所を読む
海外の生成AIの規約を確認するとき、多くの人は禁止事項の数と、学習に使うかどうかを見て終わります。しかしこの2点は、事業者が何を約束しているかの話です。見るべきは、事故が起きたときに誰が負担するかです。
Rogue Studioの規約を並べると、配分ははっきりしています。事業者が持つのは、通知なく利用を止め、裁量で削除し、規約を変える権利です。利用者は、同意と記録の責任、第三者への補償、返金なし、米国での仲裁を引き受けます。事前審査はしているのに、結果には責任を負わない。成人向けという業態の特殊さで片付けず、自社が使うサービスの規約にも同じ型がないかを探す材料として読むのが実務的です。
だから、読み順を変えます。停止の条件、返金、責任の上限、紛争の場所。この4つを先に読めば、そのサービスに業務を載せたときの最悪の事態が分かります。禁止事項はその後で十分です。
自社で導入するツールでも同じです。学習に使わないという一文に安心する前に、止められたとき、自社に何が残るかを確かめてください。

【waltsu視点】誤検知を公開する
Rogue Studioのガイドラインで目を引くのは、誤検知を隠していないことです。止まる語、止まる理由、言い換え方まで書き、バグも認めています。検知を厳しく設定すれば、正当な指示も止まります。それでも利用者が試し続けられるのは、止まったときの対処法が先に書かれているからです。
waltsuが大切にしているのは、試行回数を増やすことです。社内の生成AIでも、利用ルールに引っかかった、AIに断られたという経験は必ず起きます。理由が分からないまま止まると、担当者は2回目を試さなくなります。試行回数を左右するのは、止め方の厳しさより止まった後の案内です。
明日やれる一歩は、止まった例を集めることです。1週間だけ、社内でAIに断られた指示と、通った言い換えを共有の場所に書いてもらいます。集まった例に一言ずつ理由を添えて配れば、それが自社版のよくある質問になります。

よくある質問
言い換えても止まるときは?
ガイドラインは、明らかな理由なく止まり続ける場合はサポートへ連絡するよう案内しています。画像側の誤検知も調査の対象です。
生成物は商用利用できる?
商用利用の権利は加入プランによって異なるとされています。条件はプランの説明で確認が必要で、利用規約本文には具体的な記載がありません。
解約したら返金される?
返金されません。解約は請求期間の終わりに有効になり、それまでは使えます。法令上必要な場合や書面での合意がある場合は例外です。
日本から使う場合の準拠法は?
規約上はカリフォルニア州法で、紛争はロサンゼルスでの仲裁です。日本法上の有効性の評価は本記事では扱いません。
規約はいつ変わる?
事業者はいつでも変更できます。重要な変更はトップページのリンク表示で30日以上知らせ、使い続けると同意したものとみなす定めです。
この記事の要点
・ガイドラインは9項目を禁止。ディープフェイクは本人の文書化された同意が基準
・未成年に関わる内容は規約の全条項に優先し、即停止と通報の対象
・誤検知される語と言い換えを公式に公開。学習は書面同意なしに使わない条件付き
・返金なし、通知なしの停止、責任上限、米ロサンゼルスでの仲裁が利用者に適用される
まとめ
Rogue Studioの規約とガイドラインは、無検閲という印象とは逆に、禁止事項と利用者の責任で埋まっています。未成年とディープフェイクの扱いは特に厳しく、誤検知が出ることも事業者自身が認めています。
生成物は利用者のもので、学習には書面の同意なしに使わないとされる一方、返金なし、通知なしの停止、責任の上限、米国での仲裁という条項が並びます。海外の生成AIの規約は、禁止事項より先に停止・返金・責任・紛争の4点から読むのが近道です。
自社で使うAIの規約をどう読み、社内ルールにどう落とすかを決めたい場面が出てきたら、waltsuが確認の観点づくりからご支援します。
