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生成AIと著作権の関係とは?AI学習・生成物・商用利用の注意点をわかりやすく解説

生成AIと著作権
マワルくん マワルくん
こんな人におすすめ
・AI生成物を商用利用したい
・AI学習と著作権の関係を知りたい
・社内のAI利用ルールを作りたい

ChatGPTや画像生成AIの普及で、生成AIを仕事やコンテンツ制作に使う機会が増えました。一方で、「著作物をAIに学習させても問題ない?」「AIで作った画像を商用利用してもいい?」「AI生成物の著作権は誰のもの?」といった著作権の疑問も増えています。

先に、この記事全体を貫く結論をお伝えします。生成AIと著作権は、「AIを使ったかどうか」だけで判断できません。学習・入力・生成・利用という段階ごとに、適用される考え方が異なるためです。

本記事では、日本の著作権法と文化庁が公表している考え方をもとに、AI学習・入力・生成物の侵害判断・生成物の著作権・商用利用・「○○風」の扱い・企業の運用ルールまで、段階を追って解説します。

※本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の事案については、最終的には司法判断や弁護士など専門家への確認が必要です。

この記事のゴール(読了目安 約11分)

生成AIと著作権の関係を「学習・入力・生成・利用」の4段階で整理し、自社で確認すべきポイントと、専門家に相談すべき場面を判断できるようになる。

著作権は「段階ごと」に考える

著作権は「段階ごと」に考える

生成AIと著作権には、大きく4つの場面があります。

1つ目は、AIに著作物を学習させる場面。2つ目は、著作物をAIへ入力する場面。3つ目は、AIでコンテンツを生成する場面。4つ目は、生成物を公開・販売する利用の場面です。

それぞれ適用される考え方が異なります。特に重要なのは、「AIの学習に使える」=「生成されたものを自由に使える」ではないこと。文化庁も、AIによる生成と、生成物を公開・販売等する行為は、分けて適法性を判断する必要があるとしています。

「AIならOK」「AIだから危険」と一括りにせず、いま自分がどの段階の話をしているのかを意識することが、すべての出発点です。

AI学習と著作権

まず、AIに著作物を学習させる段階です。

許諾不要の場合がある

日本の著作権法第30条の4では、著作物に表現された思想・感情を「享受」することを目的としない利用について、一定の条件のもとで著作権者の許諾なく利用できる場合が定められています。

AIによる情報解析・学習は、この「非享受目的」の利用に該当する場合があります。そのため、「著作物をAI学習に使ったら必ず著作権侵害」というわけではありません

すべての学習が自由ではない

ただし、第30条の4には例外があります。原則と例外を以下の表に整理します。

区分 内容
原則 情報解析など非享受目的の利用は、許諾なく行える場合がある
例外1 著作物の創作的表現を出力させる目的がある場合(享受目的の併存)は、適用されない可能性がある
例外2 著作権者の利益を不当に害する場合は、適用されない可能性がある

たとえば、特定のクリエイターの作品だけを集め、その作品の創作的表現を再現させることを目的として追加学習するような場合は、注意が必要とされています。

AIへの入力と著作権

生成AIを使うとき、文章、画像、書籍、Web記事、資料などをAIへ入力する場面があります。ここでも著作権への配慮が必要です。

他人の著作物を入力する場合

他人の画像や文章を生成AIへ入力する行為では、著作物の複製等が生じる場合があります。適法かどうかは、利用目的、利用方法、権利制限規定、利用規約などを踏まえて判断する必要があります。「入力しただけだから大丈夫」と単純には言えない、という点を押さえてください。

RAGでも注意する

社内AIなどで使われるRAG(社内文書などをAIに検索・参照させる仕組み)でも同様です。書籍・記事・レポートなどを大量に取り込み、AIに検索・要約させる場合、文化庁は、創作的表現そのものを回答として出力することを目的とする場合などには、第30条の4が適用されない可能性があるとしています。

「社内利用だから自由」ではなく、何を取り込み、何を出力させるのかで判断が変わります。

AI生成物は著作権侵害になる?

AI生成物は著作権侵害になる?

次に、生成・利用の段階です。結論として、AI生成物でも著作権侵害になる可能性はあります。

基本的な判断方法は、人間が制作したコンテンツの場合と大きく変わりません。重要になるのが「類似性」と「依拠性」です。文化庁の資料でも、AI生成物の著作権侵害はこの2つを基本に判断する考え方が示されています。

類似性

既存の著作物と、創作的な表現が似ているかを見ます。ポイントは、テーマが同じ、アイデアが同じ、作風が似ている、というだけでは直ちに著作権侵害にならないことです。著作権が保護するのは「創作的な表現」であり、その部分が共通しているかが問われます。

依拠性

既存の著作物をもとに作られたと認められるかを見ます。たとえば、既存作品そのものをAIへ入力して似た画像を生成した場合には、依拠性が認められやすくなる可能性があります。

また文化庁のガイダンスでは、既存著作物のタイトルなど特定の固有名詞をプロンプトへ入力したことなども、依拠性を判断する際の要素になり得ると整理されています。プロンプトの書き方自体が、後の判断材料になり得るということです。

AI生成物に著作権はある?

AI生成物に著作権はある?

ここまでは「他人の著作権を侵害しないか」の話でした。今度は逆に、「自分が生成したものを著作権で保護できるのか」を考えます。これは別の問題です。

AIが自律的に作ったもの

AIが自律的に生成しただけのものは、著作物に該当しないと考えられています。たとえば、簡単な指示を出して生成ボタンを押し、AIがほぼ自動で完成させたような場合です。著作権法上の著作物には、人による創作的な表現が必要とされているためです。

つまり、AI任せで作ったコンテンツは、自社の著作物として権利主張できない可能性がある、ということになります。

人が創作的に関与したもの

一方で、人がAIを創作のための「道具」として利用している場合には、著作物として認められる可能性があります。

判断では、創作意図、プロンプトの工夫、生成の試行、選択、修正、加工、編集など、生成までの一連の過程で人がどの程度創作的に関与したかが考慮されるとされています。「AIが作ったか」ではなく、「人がどう関わったか」が問われるのです。

AI生成物は商用利用できる?

生成AIで作った画像や文章を、Webサイト、広告、SNS、商品などに使うケースも増えています。ただし、「AIサービスが商用利用を認めている」=「著作権上も必ず安全」ではありません。確認すべきことは3つあります。

利用規約を確認する

まず、利用する生成AIサービスの規約です。商用利用できるか、生成物の権利はどう扱われるか、入力データが学習に利用されるか、利用できない用途はないか。サービスごとに条件が異なるため、必ず現行の規約を確認します。

既存作品との類似を確認する

生成物を広告や商品に使う前に、既存の作品と似すぎていないかを確認します。特に、ロゴ、キャラクター、商品パッケージ、広告、音楽など、長期間・広範囲で使うものほど慎重に確認してください。

著作権以外の権利も確認する

生成AIでは、著作権以外にも、商標権、意匠権、肖像権、パブリシティ権、不正競争防止法、個人情報などが問題になる可能性があります。経済産業省も、生成AIの利用では著作権だけでなく商標・意匠など複数の権利への注意が必要としています。著作権だけ確認して安心しない、という視点が大切です。

「○○風」の生成は侵害になる?

「○○風のイラストを作って」というプロンプトはよく使われます。ここでは、「作風」と「具体的な表現」を分けて考えることが重要です。

作風は保護されない

著作権は、アイデアや作風そのものではなく、創作的に表現された具体的な表現を保護します。そのため、「似た雰囲気」というだけで直ちに著作権侵害になるとは限りません。

具体的な表現の類似は問題

一方で、構図、キャラクターデザイン、特徴的な要素など、具体的な表現が既存作品と類似し、依拠性も認められる場合には、著作権侵害となる可能性があります。

「○○風だからOK」と単純に判断しないこと。また、特定の作家名や作品名をプロンプトに入れる行為自体が依拠性の判断要素になり得る点も、あわせて意識してください。

企業が使うときの注意点

企業として生成AIを使う場合の実務的な注意点を5つに整理します。

利用するAIを決める

社員が自由にさまざまな生成AIを使う状態では、規約・データ管理・権利関係を把握できません。会社として利用できるAIサービスを決めることが出発点です。

入力禁止の情報を決める

著作権だけでなく、機密情報、顧客情報、個人情報、契約書、未公開情報、第三者の著作物など、入力してはいけない情報のルールを定めます。

生成物を人が確認する

AIが生成したものをそのまま公開しない。既存作品との類似、事実確認、権利侵害、ブランド、品質。重要なコンテンツほど、人間による確認を挟みます

生成過程を記録する

文化庁のガイダンスでは、生成に利用したプロンプトなど、生成過程を確認できる状態にしておくこともリスク低減策として紹介されています。利用したAI、プロンプト、生成日時、元データ、編集内容、担当者。記録があることが、後から経緯を説明できる備えになります。

高リスク用途は専門家に確認

企業ロゴ、メインキャラクター、商品デザイン、有料コンテンツ、大規模広告、長期間使うクリエイティブなど、ビジネスへの影響が大きい用途ほど、公開前に法務・知財担当者や弁護士など専門家へ確認してください。

リスクを減らすチェックリスト

ここまでの内容を、実務で使えるチェックリストにまとめます。

タイミング 確認すること
生成前 利用規約を確認したか/入力データを利用する権利があるか/第三者の著作物を安易に入力していないか/特定作品の再現を目的としていないか
生成後 既存作品と酷似していないか/特定のキャラクターやロゴが含まれていないか/必要に応じて類似画像・文章を調査したか
公開前 商用利用できるか/人間による確認を行ったか/必要な編集・加工を行ったか/生成過程を記録したか/高リスク用途なら専門家へ確認したか

すべてを完璧にすることよりも、「生成前・生成後・公開前」という3つの関所を必ず通す運用にすることが、実務では効果的です。

【プロの視点】生成と利用は別

生成AIを使っていると、「AIが生成してくれたから使っても大丈夫」と思ってしまいがちです。しかし、生成できることと、公開・販売できることは別です。

たとえば、AIが既存作品に非常によく似た画像を生成したとします。画像自体は問題なく生成できた。では、それを広告に掲載してよいか。問題になるのは「AIが生成できたか」ではなく、「その画像を利用することで第三者の権利を侵害しないか」です。

AIサービス側にも生成内容の技術的な制限はありますが、それに依存しきってはいけません。生成物を利用する責任は利用者側にあるという前提で、自分たちの目で確認する。これが、生成AIを業務で使ううえでの基本姿勢です。

【waltsu視点】工程として管理する

工程として管理する

企業の生成AI活用では、「AIが作った画像」「AIが書いた文章」という完成物だけに注目しがちです。しかし、本当に管理すべきなのは制作工程の全体だと、waltsuは考えています。

企画→参考資料→AIへの入力→生成→選定→人間による編集→確認→公開。この流れの中で、何をAIへ入力してよいか、何を生成させてよいか、誰が確認するか、どこから専門家へ確認するかを、あらかじめ決めておく。

生成AIを「禁止するか、自由に使わせるか」の二択で考える必要はありません。生成AIを「素材」ではなく「制作工程」として捉え、安全に使える制作プロセスを設計する。これが、リスクを抑えながらAIの効率を活かす現実的な方法です。waltsuのコンテンツ制作でも、入力・生成・編集・確認・公開の各工程にルールと記録を組み込んで運用しています。

よくある質問

生成AIに著作物を学習させるのは違法ですか?

必ず違法になるわけではありません。日本では、情報解析など著作物に表現された思想・感情を享受しない目的であれば、著作権法第30条の4により許諾なく利用できる場合があります。ただし、享受目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合などは例外となります。

AI生成物の著作権は誰のものですか?

AIが自律的に生成しただけのものは、著作物に該当しないと考えられています。一方、人間に創作意図と創作的な寄与が認められる場合には、AIを利用した人が著作者となる可能性があります。

ChatGPTで作った文章は商用利用できますか?

サービスの利用規約上の商用利用の可否と、第三者の著作権を侵害しないかは、別々に確認する必要があります。公開前に、現行の利用規約と生成物の内容の両方を確認してください。

AIで作った画像は著作権侵害になりますか?

既存の著作物との「類似性」と「依拠性」がともに認められる場合には、著作権侵害となる可能性があります。AIを使ったかどうかではなく、この2つを基本に判断されます。

AIで作った画像を広告に使えますか?

利用規約上の商用利用が認められていても、第三者の著作権や商標権などを侵害していないかの確認は別途必要です。広告のように露出が大きい用途ほど、公開前の確認を慎重に行ってください。

「○○風」と指定するのは著作権侵害ですか?

作風やアイデアが似ているだけで直ちに著作権侵害になるとは限りません。ただし、生成された具体的な表現が既存作品と類似し、依拠性も認められる場合には、侵害となる可能性があります。

AI生成物であることの表示は必要ですか?

著作権法上、生成AIを利用したことについて常に一律の表示義務が生じる、という単純なルールではありません。ただし、利用するサービスやプラットフォームの規約、業界ルール、取引条件などで表示が求められる場合があるため、確認が必要です。

会社で使う場合、何を決めればいいですか?

最低限、利用できるAI、入力禁止情報、利用可能な用途、生成物の確認方法、公開前の承認、生成履歴の管理、専門家へ確認する基準を決めることをおすすめします。

まとめ

この記事の要点

・生成AIと著作権は「学習・入力・生成・利用」の4段階に分けて考える
・学習は30条の4で許諾不要の場合があるが、例外もある。学習OK=利用OKではない
・生成物の侵害は「類似性+依拠性」で判断。生成物の著作権は「人の創作的関与」次第
・企業は完成物でなく制作工程を管理する。高リスク用途は専門家へ確認

生成AIと著作権を考えるときは、「AIならOK」「AIだから危険」と単純に判断しないことが重要です。学習・入力・生成・利用の4段階に分け、それぞれの段階で何を確認すべきかを押さえる。そして、生成物を公開・販売する場面では、類似性・依拠性・利用規約・著作権以外の権利まで確認する。

リスクをゼロにすることだけを考えると、生成AIは使えなくなってしまいます。大切なのは、どこにリスクがあり、どこで人間が確認するのかを決め、安全に活用できる仕組みを作ることです。法的な判断が必要な場面は弁護士など専門家に確認しつつ、日々の制作を安全に回すプロセスづくりから始めてみてください。waltsuでは、生成AIを組み込んだコンテンツ制作の工程設計や、マーケティング業務でのAI活用ルールづくりをご支援しています。

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この記事を書いた人

藤井 俊輔

代表取締役

藤井 俊輔/ フジイ シュンスケ

ベンチャー企業の外部CMOや水族館のマーケティング担当などに従事。オンライン/オフライン問わず集客を中心としたマーケティング施策に強み。

システム・アプリ開発Web広告運用Web集客全般
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