・競合調査のやり方を知りたい
・無料で使えるツールを知りたい
・競合との差別化点を見つけたい
Webマーケティングで成果を出すために欠かせない「競合調査」。しかし、「具体的にどのツールを使い、何をどう分析すればいいのか分からない」と悩む担当者は少なくありません。
先に結論をお伝えすると、競合調査は広告・流入経路・SEO・SNSの口コミ・実際の顧客体験という5つの領域を、無料の公式データベースと定番ツールで押さえれば、専門部署がなくても実行できます。そして忘れてはいけないのは、調査の目的は競合の真似ではなく、「競合がまだ満たせていない顧客ニーズ」と「自社だけが提供できる価値」を見つけることだという点です。
本記事では、競合調査を始める前に決めるべきこと、5つの調査領域ごとの具体的なツールと分析手順、調査結果を意思決定につなげる比較シートの作り方まで解説します。
この記事のゴール(読了目安 約8分)
5つの調査領域と使うツールを理解し、競合の強み・弱みを比較シートに整理して、自社の差別化ポイントの発見につなげられるようになる。
競合調査を始める前に

ツールに触る前に、2つだけ決めておくことがあります。ここを飛ばすと、データを集めただけで終わります。
調査の目的を決める
「広告の訴求を改善したい」「SEOで勝てる領域を探したい」「価格・オファーを見直したい」など、調査結果を何の判断に使うのかを先に決めます。目的によって、5つの領域のどこから調べるべきかが変わります。
調べる競合を決める
自社が競合だと思っている企業ではなく、顧客が比較しているであろう相手を2〜3社選びます。検索結果や口コミで自社と並んで登場する企業が候補です。競合の洗い出しを含む分析の枠組みは、3C分析の記事で解説しています。
広告クリエイティブの調査

競合が「どのような広告文・画像・動画で集客しているか」は、主要プラットフォームが提供する公式データベースで確認できます。いずれも無料で使えます。
Meta広告ライブラリ
Metaが透明性確保のために提供しているデータベースで、FacebookとInstagramの配信中広告を確認できます(Meta広告ライブラリ)。
調べ方は、検索窓に競合の会社名や商品名、または「会計ソフト」などの業界キーワードを入力するだけです。分析のポイントは、掲載開始日です。長期間配信され続けている広告は、成果が出ている「当たりクリエイティブ」である可能性が高いと判断できます。
Google広告の透明性センター
Google検索広告・ディスプレイ広告・YouTube広告を確認できる公式アーカイブです(Google 広告の透明性センター)。
競合の会社名やサイトドメインで検索すると、どの媒体に、どんな訴求軸(価格訴求、悩み解決、実績訴求など)で広告を出しているかの一覧が得られます。
TikTokの広告ライブラリ
TikTokにも商業コンテンツの公式ライブラリがあり、若年層向け商品やショート動画施策を行う競合の調査に使えます(TikTok Commercial Content Library)。
地域を日本に設定してキーワードで検索し、どのような縦型動画の構成か、冒頭のフック(最初の数秒の見せ方)に何が使われているかを分析します。
流入経路の調査
競合サイトのアクセス規模や、「どこから人が来ているのか」を推計する定番ツールを3つ紹介します。
Similarweb
競合サイトの全体像を素早く把握できる定番の分析ツールです(Similarweb)。URLを入力すると、推計の訪問数、流入チャネルの内訳(検索・直接・SNS・広告)、あわせて訪問されている関連サイトなどを確認できます。「競合はどのチャネルに力を入れているのか」という戦略レベルの当たりをつけるのに向いています。
Semrush
SEOと広告の両方に強いオールインワン型のツールです(Semrush)。競合がどの検索キーワードで集客しているか、どんなキーワードに広告を出しているかを数値で確認できます。
Ahrefs
世界最大級の被リンクデータを持つSEO調査ツールです(Ahrefs)。競合サイトがどのWebサイトからリンクを獲得しているかを特定でき、競合を掲載している外部メディアの開拓にも役立ちます。
※各ツールの無料枠・機能・料金は変更されることがあるため、利用前に公式サイトで最新情報を確認してください。
検索結果(SEO)の調査
ツールだけに頼らず、実際の検索結果から上位サイトを比較する調査も欠かせません。
シークレットモードで検索する
検索履歴によるパーソナライズの影響を受けないよう、ブラウザのシークレットモードで、自社が狙いたい主要キーワードを検索します。
見るべきポイントは3つです。タイトル設計(30文字前後でどんな訴求ワードを入れているか)、見出し構成(どんな情報をどんな順番で網羅しているか)、そして独自コンテンツ(診断ツール、オリジナル図解、シミュレーター、口コミなどの有無)。上位サイトに共通する要素と、どこも提供していない要素の両方をメモします。
Ubersuggest
手軽にキーワード調査や競合サイトの流入キーワードを確認できる簡易ツールです(Ubersuggest)。無料の利用枠があり、スピーディーに当たりをつける用途に向いています。
SNS・口コミの調査
競合の公式アカウントだけでなく、ユーザーが投稿している「リアルな評価・不満」を拾い上げます。ここは差別化メッセージの宝庫です。
Yahoo!リアルタイム検索
X(旧Twitter)を中心とした最新のユーザー投稿を、無料で横断検索できます(Yahoo!リアルタイム検索)。
調べ方のコツは、「競合商品名 失敗」「競合商品名 高い」「競合商品名 解約」といったネガティブ語との掛け合わせ検索です。ユーザーが競合に感じている不満(ペインポイント)が見つかれば、自社の差別化メッセージとして活用できます。
Xの高度な検索
Xの高度な検索機能を使うと、一定以上の反響があった投稿に絞って分析できます(X 高度な検索)。
たとえば検索窓に「競合ブランド名 min_faves:100」と入力すると、100いいね以上の投稿だけを抽出できます。競合に関して拡散されたポジティブ・ネガティブな評判だけを取り出し、口コミの傾向をつかむ使い方です。
なお、口コミの背景にある顧客心理の読み解き方は、顧客インサイトの記事で詳しく解説しています。
顧客体験の調査

数値データには表れない「実際の顧客体験」を、自ら体験して記録する調査です。地道ですが、ここでしか得られない情報があります。
覆面調査を行う
実際に競合のマーケティングファネル(集客から購入までの導線)を、顧客として通ってみる調査です。手順は次のとおりです。
- 1. 資料請求・メルマガ登録をする: 競合のホワイトペーパーのダウンロードやメルマガ登録を行う
- 2. フォームをチェックする: 入力項目の数や入力のしやすさを記録する
- 3. その後の連絡を追跡する: 登録後、何日目のどの時間に、どんなステップメールやLINEが届くかを追う
- 4. 購入・解約まで体験する: 可能ならお試し購入を行い、同梱物、解約の流れ、引き止めオファーまで確認する
競合が設計した顧客体験を丸ごと体験することで、数値ツールでは見えない強み・弱みが具体的に分かります。
Wayback Machineで変遷を見る
競合サイトの過去の状態を閲覧できるWebアーカイブサービスです(Wayback Machine)。
競合のトップページやLPが過去にどう変わってきたかを確認し、キャッチコピーの変化、価格改定、オファーの変更履歴をたどります。変更が定着している箇所は、競合のテストで成果が出た可能性が高いと推測できます。
調査結果を比較シートにまとめる
集めた情報は、比較表(スプレッドシートなど)に整理して社内で共有します。以下はその一例です。
分析項目自社競合A競合B主要集客チャネルSEO中心Meta広告+LINEYouTube+TikTokメイン訴求軸業界最安値簡単・業務効率化導入実績の豊富さCVポイント無料会員登録14日間無料体験資料ダウンロードユーザーの不満機能が少ない価格が高い・解約しづらい操作画面が複雑
※表の中身は記入イメージの例です。
ポイントは、チャネル・訴求・オファーといった「企業側の打ち手」と、口コミから拾った「ユーザーの不満」を同じ表に並べることです。競合の打ち手と顧客の不満のギャップにこそ、自社が取るべきポジションのヒントがあります。

調査を差別化につなげる
最後に、最も重要なことをお伝えします。競合調査の目的は、競合の真似をすることではありません。
集めた情報から、競合の強みと弱みを洗い出し、「競合がまだ満たせていない顧客ニーズ」や「自社だけが提供できる独自の価値」を見つけること。調査はあくまで材料であり、成果を決めるのは「では自社はどこで勝つのか」という意思決定です。
調査結果からポジションを決める考え方は、3C分析(勝ち筋の発見)やSTP分析(ポジショニング)の記事で解説しています。比較シートが埋まったら、必ずこの意思決定までつなげてください。
よくある質問
競合調査は無料でもできますか?
できます。Meta広告ライブラリやGoogleの広告透明性センターなどの公式データベース、Yahoo!リアルタイム検索、Wayback Machineは無料で使えます。分析ツールも無料枠から始められるものが多くあります。
競合調査ではまず何から始めるべきですか?
最初に「調査結果を何の判断に使うか」という目的と、調べる競合2〜3社を決めてください。そのうえで、目的に近い領域(広告改善なら広告ライブラリ、SEOなら検索結果の比較)から始めるのが効率的です。
競合の広告はどうやって調べられますか?
Meta広告ライブラリ、Googleの広告透明性センター、TikTokの広告ライブラリなど、各プラットフォームの公式データベースで、配信中の広告クリエイティブを無料で確認できます。
競合サイトのアクセス数は分かりますか?
Similarwebなどの分析ツールで、推計値を確認できます。あくまで推計のため、正確な実数ではなく、規模感やチャネル構成の傾向をつかむ材料として使ってください。
競合調査はどのくらいの頻度で行うべきですか?
決まった正解はありませんが、広告や口コミは変化が速いため四半期ごと、戦略レベルの見直しは半年〜1年ごとなど、目的に応じて頻度を分けるのが現実的です。競合の大きな動き(値下げ・新サービス)があったときは、その都度確認してください。
まとめ
この記事の要点
・競合調査は「広告・流入経路・SEO・口コミ・顧客体験」の5領域で行う
・公式広告ライブラリと無料ツールで、専門部署がなくても実行できる
・企業側の打ち手とユーザーの不満を比較シートに並べ、ギャップを探す
・目的は真似ではなく、「競合が満たせていないニーズ」と「自社の勝ち筋」の発見
競合調査は、特別なツールや大きな予算がなくても始められます。公式の広告ライブラリで競合のクリエイティブを見る、検索結果を並べて比較する、口コミで不満を拾う、実際に顧客として体験してみる。どれも今日から実行できる調査です。
まずは気になる競合1社のドメインや広告を、本記事で紹介した公式ライブラリに入力するところから始めてみてください。そして調査で終わらせず、「自社はどこで勝つのか」の意思決定までつなげること。競合の分析から差別化戦略の設計、施策への落とし込みまで支援が必要な場合は、waltsuがご相談を承っています。
